活動の場がSNS・バーチャル空間を中心としており、SNSを取り巻く問題と絡めた構成には興味を持ったのだが、ストーリー展開は個人的な好みではなかった。
ストーリーは基本的に、ビオラの行動によって他のキャラクターが動かされていくように見え、キャラクター自身が主体的に物語を動かしている印象を持てなかった。
また、時折挟まれるギャグも個人的にはあまりハマらず、物語から一歩引いてしまう要因となっていた。
悪役であるビオラについても、自分なりの哲学や信念を持った悪役というより、陰湿ないじめ役のように見えてしまった。
バンドリシリーズの一作品として振り返ってみても、なぜバンドリシリーズでこのストーリーを描く必要があったのか、という疑問が残る。
バンドでなくても、時々歌うVTuberのような設定でも話は成立するように思えるし、バンドとしての練習やライブ活動といった描写も極端に少なかったように感じた。
もう少しSNS・バーチャル空間という、ゆめ∞みた独自の設定を活かせば、面白くなったのではないかと思う。
従来のバンドリシリーズでは、人間関係のすれ違いや感情の衝突は、基本的に仲間内の問題として描かれていた。
それが、ゆめ∞みたではSNSを介することによって、仲間内で起きた問題がファンの間にも広がってしまう。
一般的に、多くの場合SNSでの炎上は、匿名性の高い集団心理や、正義感が過剰に増幅されることによって起こる。
SNSを主軸にするのであれば、主人公たちが向き合う相手は、ビオラという明確な個人ではなく、こういったSNS上で生まれる、正体の見えない集団心理や歪んだ正義感そのものでもよかったのではないだろうか。
ビオラという一人の悪役を中心に物語を動かすのではなく、SNSを介して人々の感情や正義感が増幅され、それが主人公たちに襲いかかってくるような構造にすれば、ゆめ∞みたならではの物語になったように思う。
SNS・バーチャル空間という、ゆめ∞みた独自の設定をもっと活かすことができていれば、評価は大きく変わったと思う。