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yuppe
@yuppe

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とても良い

結末としてこれ以上なかったんじゃないかなというくらいよかった。
窮地に陥りつつ、信じる力で無事切り抜けたという後半の展開もテンポがよくて快感だった。

特筆すべき点はやはりスタッフロール後の三四の救い方だろう。

そもそもこの作品は悪役をすごく丁寧に描く作品だなと思う。そのことは実際に作中で三四の境遇を主軸にしたエピソードに3話分(#14~16)も割かれていることに表れている。この3話で三四の正義にしっかりとした正当性が与えられ、その後の三四の覚悟や行動がより一層際立ち、筋の通ったものとなった。もちろんシナリオだけでなく、大浦冬華さん、伊藤美紀さんの迫真の演技がそれを助けたのは言うまでもない。
最終的に三四は、自分を育ててくれた大切な人の無念を晴らす方法を過ち、「より大きくて目に見えない悪」に利用されるという結末を辿るのだが、彼女の境遇を知っている私は「スッキリした」とはならなかった。それは三四もまた圭一たち同様、運命に翻弄された一人であり、彼女もやがては救われる必要があると思ったからだ。
ここで並の作品なら三四に「私が間違っていたのね」や「もうこんなことはしないわ」と言わせるか、よりリアルなものとしてせいぜい最後の銃弾の一発を自分に打ち込むという選択をさせ、勧善懲悪として描くのが関の山だろう。ただ、ひぐらしはそうはならなかった。
圭一たちが最後に運命に打ち勝った世界で、三四は連行される。彼女はきっとその後自らの境遇を嘆き、絶望したことだろう。ただスタッフロール後の演出に非常にひぐらしらしさ、この作品の素晴らしさを感じた。
この作品が主題にしてきた「信じることで運命を変える」という形で、梨花ちゃんが幼き美代子の運命をも変えたのである。
もちろん人の歩んできた足跡や過去というのは現実において、そう簡単に変わらない。ただ、三四がそうであったように、生きていると「あれがなければ」とどうしても苦しくて変えたくなる過去を抱えてしまう人はきっといる。そんな三四をも救い出す演出をしたひぐらしはとても優しい作品だなと感じた。

「こんな人生私はいらない」と神に慟哭していた美代子が物語の最後「神様、これで私幸せになれるのかな」と言いながら、明るく健やかな人生を歩む。
誰にもトランプのババを引かせない最高の作品だなとしみじみ思った。



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