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全体
良い

原作未読。四畳半神話大系も残念ながら知らない。
“パンツ総番長”の言葉の響きの強さに初っ端から打ちのめされた。
乙女の巻き起こす「ご縁」の嵐と、先輩が必死で手繰り寄せる「偶々」の努力、そしてアニメならではのめくるめく表現世界。面白かった。
空虚にも思える“外堀埋め”の楽しさについてふと触れられているのがなんだか共感できて楽しかったし、押し入れに仕舞い込んだ「才能」の正体はなんだか胸にツンと刺さった。
堂々巡りを突き破るのはヒャッホーの進む力で、恋をしたら孤独になるんだね。
四畳半神話大系も見る機会をいつかつくりたい。
そして花澤香菜さんの声と演技、とっても好きだなぁ…と改めて思った。



全体
良い

二度目の視聴。
一度目はハルカが主人公だと捉えていたけれど、ユウ、カラスが主役だったのだなと考えを改めた。
良くも悪くも“龍のトルク”はブレない。このお話で成長し変化するのはユウとカラスなのだよね。

過去を許すことのできないカラスと、未来の選択を怖れるユウ。話が進むにつれそれぞれの立場、関係が変化し入れ替わっていく様子はやっぱり面白い。
カラスの“力無い弱い過去”にイラつく気持ちもわかるし、ユウの“未来に対する漠然とした不安”みたいなものも進路を決める時期ありがちなことの様に思う。
そこからカラスがユウを認め、ユウは未来を選び取りカラスに代わってハルカを守り抜く気概が持てるまでに成長していく。その流れが巧妙に描かれているなと思う。

それから、これは最初に視聴した時に驚き、感嘆した部分だけれども、対応する話を立場や状況や人を変えて繰り返し描いてみせる造りがとても印象的で、例えばカラスとノエインを入れ替えて彼らの関係を暗示する1話と16話、立場が逆転しつつあるカラスとユウを入れ替えてラクリマにハルカと行く6・7話と20話、過去に囚われた大人は過去へ、子供は絶望の未来へ行く9話と22話。
他にも細かく見れば沢山あるんだろうな。この仕掛けのお陰で、カラスとユウ、未来と過去、を否応無しに対称として意識するし、過去を受け入れる困難さと必要性、未来を選択する勇気と尊さを感じられる仕組みなんだろう。…そしてそれらを成し得なかったノエインの矮小さが伝わるんだろう。

前を見通すことのできない霧の中で、ハルカが仲立ちするようにカラスとユウの手を取って歩くシーン。まさにこれが我々凡人の歩む人生の縮図のようなものに感じて何やら感慨深かった。
二度目も面白かった。そしてやっぱりフクロウはいい奴だった。



全体
とても良い

登場人物にとって現状がやるせなく、いかんともしがたい時、風景描写は冴え渡り胸を打つほどの美しさをこの監督は描くのだな。
練りに練った手紙よりも、たった一度の口づけで通い会う想いが存在するし、忘れられない恋慕が生まれると残酷なことを告げてくる。
いつまでも夢想の中に浸ることもできず、ロマンは薄汚れて理想も擦りきれて現実を選びとることになるのが大人ってことなのか、幸せって事なのか、何が正解なのか私にもわからないけど、誰にとっても『瑞々しい若い日の夢想と憧れ』は苦くて美しいモノなのだと思う。届かなければ届かない程に。

ロケットが遥か彼方にうち上がる様子を言葉もなく見守り、相手の心が届きようもない所を指している事を悟ってしまうあの美しいシーンは私もしんみり寂しくて、何かを抱くようにして眠る姿もまた美しく、悲しくなって泣いた。

こんな視座で物語を描いた監督が、どんな過程を経て「君の名は」のラストにまで辿り着いたのか、少し興味がある。



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