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全体
普通
映像
良い
キャラクター
良くない
ストーリー
良くない
音楽
良い

ファン待望の最終章だが、「よくわからない」というのが正直な所。今までの章も説明不足だったり展開が端折ってある部分がちょっとあってモヤモヤしていたのだが、今作でその「悪癖」が顕著に出てきたように思える。
尺の短さもあってか今まで以上に展開は速く、描写は抽象的で、さらに小難しいSF的解説も入るのでかなりややこしいことになっている。最終章なのに、綺麗にまとまっていない。
この問題を悪化させているのが、3章で登場した「時空の管理者」を筆頭とする「ギアス」関連の設定だ。3章ではスマイラスの関係者のように見えた彼女は、今作ではレイラの元へ現れ「意識の集合体」を自称、唐突に「ギアスの力は人間には重すぎる」「でもそうではないかもしれない。だからレイラが暴走したシン(≒ギアスの重さに耐え切れなかった者)を止められるか見て人類をどうするか考えるよ」と宣言する。
これが話をややこしくしている。最終章なのに、むしろ謎を増やしている。
意識の集合、という言葉は本家ギアスの「Cの世界」「神」を思わせるが、関連性は語られない。ギアスを人類に授けたと示唆する台詞があるが、これも明言はされない。何より何故レイラのもとにだけ現れたのか、本家ギアスでは何してたんだという疑問が生まれてしまった。
加えてギアスの力は本家ギアス以上のオカルトっぷりを発揮し、「ブレインレイドシステムの『共鳴』がアキトとシンを現実世界から物理的に消滅させ、精神世界らしき別空間に送り込む」「死者の意思を現実世界に表出させる」などやりたい放題だ。万能すぎて世界観から乖離していて、興ざめだった。
確かに本家でもギアスやCの世界関連の設定はやりたい放題な感じがあったが、それらはキーポイントの1つではあったが物語の本筋ではなく、物語の結末(ゼロ・レクイエム)に関わってくることはなかった。だが、本作ではそれらがガッツリ物語に絡んで、結末にも影響する存在感を持つ。それも、いきなり最終章で新設定がどんどん出てくる。
総じて「もうちょいシンプルに出来なかったもんか」というのが正直な感想。

そのくせ、細かい部分は説明を省いていて、わけのわからなさを加速させる。
作中の時間経過は具体的にどうなっているのか?
レイラの持っていた「ギアスの欠片」とは?
幼少期のアキトはどうしてシンのギアスを実行できなかったのか?
シンにギアスを授けたのは何者なのか?
アシュレイの専用アレクサンダはどこから出てきた?
スマイラスは結局時空の管理者をどのように「謀った」のか?
これらの一部は設定で語られているらしいが、疑問は残る。何より、こういうことこそ本編で語れよ、と思ってしまう。謎の精神世界ワープをランドルにメチャクチャな理論で解説させることが、本当に大事なことだったのか?

戦闘シーンは相変わらず素晴らしいが、4年の間に地上波アニメのCG技術も進歩したせいで見慣れてしまったのか、驚きは薄れてしまった。2章の市街戦、3章のランスロット無双、4章の「方舟」での三次元的な戦闘と比較すると、どうもインパクトが弱い。

結論すると、「全5章の有終の美を飾れた」とは言い難いと思う。つまらなかったわけではない。戦闘シーンだけでなく、面白いと思える所、面白くなりそうだと感じたところはたくさんあったし、色々言ったが最終章もグッと来る場面はあった。
だが、それ以上に粗と説明不足が目立ってしまい、物語にのめり込めなかった。最終章だというのに、疑問ばかりが頭に残ってしまい、すっきりしなかった。



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