大きく分けると、PVでも主に宣伝されていた飛空艇内部でのワイヴァン隊vsアシュレイの激戦を描く前半、そしてワイヴァン隊不在のヴァイスボルフ城に対する、シンが率いるEブリタニア騎士団の奇襲攻撃を描く後半で構成されている。
前回のラストで「箱舟を追撃する」というところで終わっているため、開始数分でスピーディに箱舟にワイヴァン隊が突入し、アシュレイらと激戦を繰り広げる。
箱舟内部の足場をキモい動きで飛び回り敵を撃破していくアレキサンダ、そしてそれに対するアフラマズダの戦闘シーンは、劇場の画質と音響も相まって見ているだけでテンションが高まる。ギアスの力で暴れに暴れまくるアキトを見ているだけで、劇場まで足を運んでよかったと思えるほどだった。
そして中盤~後半は「箱舟」追撃で手薄となったヴァイスボルフ城を奇襲するシンと、wZERO内部のドラマが描かれる。
ナイトメアとしては異例の馬の如き四足歩行で荒れ地を踏破し、障害を鮮やかに取り除いていくウェルキンゲトリクスのアクションも見どころだが、今まで裏方に徹してきたクラウスの掘り下げと活躍も面白かった。最近の作品には少ない「オッサンキャラならではのいぶし銀的格好良さ」は良かった。
レイラを捨て駒にしてEU掌握を試みるスマイラス、レイラの左目に宿る謎の「青いギアス」、幽閉されたルルとスザク、そしていよいよ語られるシンが戦乱を起こそうとする動機など終盤に向けての伏線もがっちり固められ、否が応にも最終章への期待が高まる。
終盤でのワイヴァン隊の帰還、兄の束縛を振り切るアキト、そして新曲「アルコ」と共に流れるエンディングもよかったと思う。
ただ、アッサリ寝返ってwZEROについたアシュレイには違和感があった。一応「勝手に捨て駒にされたのがムカつく(意訳)」という理由はあるのだが、あそこまでアキトを敵視してた奴がいきなり好感度マシマシで仲間になってしまうのには違和感がある。
また、「どうしてあの爆発からワイヴァン隊とアシュレイが生き残れたか」が全く描かれていないのも気になったが、これは多分最終章の序盤あたりで補完されるだろう(多分)。
後は第1章から思っていたことだが、やっぱりこの章でも寡黙なアキトのキャラと心情はわかりにくい為、ちょっと頭を巡らせる必要がある。過去の章のことを思い出さないと、序盤でのアキトの不殺行為の意味などがわかりにくい。
かくいう僕も序盤の不殺に関しては、初見では「いや、お前第一章でガンガン人殺してたじゃん、今更すぎない」と思ってしまった。
また、「スマイラスがレイラに市民の沈静化を頼む」→「レイラの演説で暴徒が沈静化&団結」→「スマイラスがレイラの死を偽装して市民の怒りを盛り上げるのに利用する」という流れは性急だったように思えた。いくらレイラが政治家であった父・ブライスガウの娘であるとはいえ、一回の演説でいきなりあんなカリスマ性を発揮してしまうのにも違和感を感じた。
正直モヤッとするところもあったが、本作も安定の面白さ。
残すは決着の最終章のみだが、そこで「亡国のアキト」に対する最終的な評価が決まりそうだ。