東郷美森の失っていた鷲尾須美であったという記憶を両親は知りつつ隠し通してきた。そしてこの世界の本当の姿は地獄そのもので、日常はその中で神樹様に守られたほんの一点にしかない。
その日常も無限のバーテックスの襲来を受けるのでは日常と呼べるかなんて不確かでしかない。今まで日常と信じてきたものはあまりにも多くの犠牲と偽りの上にかろうじて成立していた。そして、真実を知ってしまえばそこに日常の存在など認めることはもうできなくて、東郷美森は神樹様を敵と認めてしまう...。
乃木園子にとっては祀られる存在になったところで空虚なものでしかなくて、鷲尾須美が隣にいてくれる時にしか日常と呼べる安らぎはないんだろうなぁ。