認知不可、脳が楽をしたい悩みたくないという休みたがることを指すその言葉。
その脳の、人の思考の働きを利用して、外部から大衆の心理をコントロールしようとするのが小宮カリナの裏に潜む正体・AIのマカリナだった。そのAIが人間を誘導することで、人間に思考を放棄させることを促し、選挙を戦う小宮陣営のやり方。
だが、その根拠にある小宮カリナの思いは決して悪辣なものではない。平和のために必ずしも人々を目を開かせる必要はないと言う。暴力は人々が何かを求めることによって起こるものであり、それを政治の力で最小化したいという小宮カリナ、いやマカリナの言葉はまやかしなんかではなく、真実の彼女たちの言葉ではあるのかもしれない。
しかし、この都知事選挙を裏で操り、二人の選挙候補を操り人形の如く使って、大衆全てを手玉に取ろうとした者たちが暗躍していた。仕組んだのはコングレスマン。だが、その存在を知るものは公安の限られた人間だけで、ほとんどの人は知らずのうちに彼らの力学によって操作されている。
イグナトフ監視官が残した「理想の人間というのは、AIなのかもしれない」という言葉。この社会では、マカリナのように本体にAIがいて、小宮カリナのようにアバターとしての生身の人間がいる。人間性を失った人間こそが完璧な人間な社会だからこそ、イグナトフと進藤はシビュラだけではない自分たちの正解を求めているのかもしれない。