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とても良い

タッパー詰めの夕食を食べさせる、そんな真昼と藤宮の関係は、いつの間にか真昼が藤宮の家の台所で出来立ての手料理を振る舞うような関係になっていた。

だからといって、そこに特別な感情が生まれたわけじゃない。それは、まるで恋愛関係から恋愛感情だけがすっぽり抜け落ちたような関係。

色恋とかそういう感情を抜きに、助けてあげたい尽くしてあげたいとか、それに喜んでくれた笑顔が嬉しいとか、そういう素直で純粋な二人の間の感情の発露が二人を繋いでいる。二人に恋愛感情がないからこそ、二人はここまで近づくことができた。

だから、真昼にとって藤宮は初めての人。真昼にとって、誕生日とは知らない人たちがプレゼントを渡してくる日で、だから嫌いな日でもあった。でも、今年の誕生日、プレゼントを渡してくれたのは藤宮だった。

それは真昼の誕生日を初めて嬉しいものにしてくれた。その理由は、藤宮は真昼にとって知らない人じゃないから。それは真昼にとって言葉以上のことを意味をしているように映った。初めて自分自身を真っすぐ見てくれた、実は可愛げがないところも良いと言ってくれた、天使なんかじゃない椎名真昼として私のことを見てくれた初めての人が彼だった。



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