魔物のスタンピードと襲い来るドラゴン。そんな強敵にも単騎で挑もうとするアニスは、人を頼ることを知らないのだと思う。だから、せめてできることは、副作用のある魔薬を飲んで強化するといった向こう見ずな戦いだった。
しかし、それでもドラゴンの力には及ばない。所詮、アニスは魔法の使えない魔法使いなのだ。箒が無ければ空も飛べないし、自らの身を痛めつけなければ魔法も十分に使えない。それでも、魔法で人を笑顔にしたいという信念のためにアニスは戦わなければならない。
だから、ユフィが立ち上がる。アニスのその思いこそが、一人だったユフィを守ってくれたものだったから。それが、「今度は私が…」とアニス自身とその思いを守るために、ユフィを立ち上がらせた理由として映っていた。
そして、アニスはユフィと共にドラゴンに挑み、打ち倒す。それは、まさにアニスにとっての魔法の杖にユフィがなった瞬間だったように見えていた。