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とても良い

アニスフィアとアルガルド、二人は同じ夢を見ながらも、互いを想う姉弟の絆のもとに、異なる道を辿ることになってしまったように見えていた。

そもそも、「私は私、他のものにはなれない」と言って我が道を進むアニスも、貴族も平民も魔法の有無で差別されない国を目指すアルガルドも、共に人が何にも縛られずにありのままでいられる世界を望んでいたのだ。

しかし、非凡な姉と凡庸な弟の絆が、それを壊してしまった。幼いある日、魔物からアニスはアルガルドを守ったことが、あらぬ疑念を招き、姉は弟のために王位継承権を放棄した。でも、それはアルガルドから見れば、王の器にふさわしいアニスと比べた自分の劣等感と、そうやって自分の存在がアニスを傷つけてしまう哀しさへと繋がることとなっていた。

そんな運命の裏切りが、果てにこの姉弟の殺し合いに至らしめていたように思う。そして、結局、アルガルドに剣を振るったアニスは、道を踏み外した弟を守ってあげることができなかった。大逆の罪を被ったアルガルドも、魔法のためには危険も顧みない姉を守ってあげることができなかった。

だから、せめてアルガルドにできることとして、「姉上を頼む」というユフィへの言葉だったように思う。そして、アニスにとっても、「なりたいものになれないのは辛いなぁ」と涙を流した弟の分も、彼女のやり方で国を善き方へと導くことが、アルガルドの思いを守ってあげることになっていくのだと思う。



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