壁の外へ忍び込む子どもたちは、そこでホンモノの赤ちゃんを目にする。それは、クリオネのような異形の形をしていた。
そして、それと重なるように描かれるのは無知な子どもたちの性と愛。何も知らないままに自然と湧き出る欲求はどこまでも純粋で、男の子とか女の子とかそんな性の区別という外的環境にも左右されない。
不気味な管理体制に置かれた子どもたちの、自然な人間としての本能の発露というのは、施設の大人たちが抑えきれない自然の摂理として映った。そして、それはタラオがトキオに「逃げて……ここは危ない」と告げた場面に、何より象徴されていたように思う。