序盤のやたらとウェットなやり取りや、繰り返される絵本との対比はしつこさすら感じていたが、後半でリズと青い鳥が入れ替わった時、あのウェットな描写こそが自然とリズと青い鳥を誤認させていたのだと気づかされて感心した。引いた目で見れば高校生のよくある進路の別れであり、その中でのごく小さなすれ違いと和解でしかないのだが、作中作をモチーフとして使いつつ錯誤へと誘導し、その解消を演奏へと昇華させる形で巧みに描いており、丁寧なアニメーションと劇伴も相まって素晴らしい作品となっていた。本編のように部としての結末を描き切ることもなく、二人のやり取りとして締めたのも非常に好印象。どうしても部とコンクールに引きずられて描写がそちらに寄ってしまう本編よりも、こちらの方が好みだった。