演奏、演出、映像が一体となって非常に心地よい作品。演奏シーンは特に、このままライブとしてずっと続けて見ていたいような陶酔感がある。プロット自体は予測できる感じのベタなものではあり、あぁ…そういうことやっちゃうんだ…と感じる部分もあるのだが、そんなの関係ねぇ!とばかりに演奏と演出ですべてをなぎ倒してくる。冒頭の片手演奏を伏線にし、最後に回収してくるのはベタではあっても否が応でも盛り上がるものであった。作中曲は何曲か出てくるのだが、オリジナル扱いということはこの作品用に作曲されたものなのだろうか?このジャンルにそこまで詳しいわけではないのだが、いずれも素晴らしい曲だった。
映像面では3DCGを多用しており、雪祈の背中から見たモーションなど一部若干浮いていたりはするのだが、シェーダーと手書きのタッチをお互い寄せ合っていたり、ロングショットで多用したりと違和感が出ないように工夫しており、3DCGの使い方としては非常に優れていると感じた。東京の都市の描写も素晴らしく、見慣れた場面が美しく描かれており東京在住の者として没入感を高めてくれた。噂に違わぬ傑作。