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全体
とても良い
映像
とても良い
キャラクター
とても良い
ストーリー
とても良い
音楽
とても良い

宮崎駿が子供向けにのびのびと活き活きと手掛けたのだろうと想像するに十分な作品。他の宮崎作品のような美術の繊細な描き込みは抑えられているが、その分、伸びやかな動きの表現、自由と創造性あふれるフリーハンドを感じさせる描線が素晴らしい。それでいて、人物、特に子供の所作、例えば宗介が舟から出て水に入ってから鞄と帽子を脱いで舟の上に置くといったリアリティのある描写には原画の枚数を惜しんでおらず、さすがはジブリと思わせてくれる。
改めて観て思ったのは、宮崎駿はオタク文化のフレームを意図的に排除して、アニメーションの表現と在り方の本質を独自に解釈し、表現として昇華しているということだ。これは他のジブリ作品にも言えることだけれど、この作品ではより自由闊達さを感じさせてくれた。
僕はオタク文化寄りのアニメファンなので、普段はジブリ作品を見ないのだけど、たまに改めて見るとハッとさせられる。人間、自然、社会の普遍的価値にアプローチする、大きなスケールの眼差しがそこにあることが感じられるからだ。それがよりメジャーな大衆性を帯びるとも言えるのだけど、こういう作品ばかりを見る気はなく、たまに見て創作の本質的視点に触れるのは有意義だと思っている。



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