美味い儲け話を会ったばかりでしてくる奴は、大体金に困ってる。元手も信用もないから人を頼って騙そうとする。特に投機と投資の話。
ヨーロッパは森を開墾して耕作地が作られ、中世前期は広大な森の中に虫食いのように集落が点在するような状況だったので、狼と人間は生息圏が重なっていた。この作品の世界では、おそらく中期から後期の中世ヨーロッパがモデルになっていると思われる。狼への信仰と畏怖が薄れ、キリスト教的な一神教が浸透しつつある時代。そして商人が各地を往来して原初的な為替取引を取り入れ始めた時代。
一神教でなくても、精霊や神が世界を作ったという創世神話を持つ部族社会や土着信仰は世界中にあった。が、おそらく中世ヨーロッパにキリスト教が導入される前のケルトやガリアの人々はドルイドに代表される自然崇拝的な信仰を持っていたので、そのあたりが狼の象徴神的なホロのモデルになっているように思える。
ローレンスとホロが少しマウント取り合戦のようなやり取りをしてしまい、お互いに触れてはならない話題があることを確認し、距離感を意識した回かなと。ローレンスは新しい時代の、ホロは古き時代の象徴でもあり、この2人が共に旅をするところに構成の妙があるというか、作品を面白くしていると思う。