トールギルは300人の半農戦士を捨て駒にして相手兵を引き付け、実質単騎で海を泳いでクヌートを背後から突く作戦を採ったわけか。背後は取れたけど、そう上手くは行かないだろうな。クヌートの傍にはフローキがいる。
ケティルはあの兵で勝てると思ってるあたり、戦のことを何も分かってないな。あの優しかった時のケティルならクヌートに従って退去すると思うんだけど。財産を全て失っても命あっての物種だし、もっと頭を使えば、農場の外に一族が身を寄せる場所を探せたかもしれないし、クヌート直轄農場の管理者か働き手になれたかもしれない。が、ノルドのプライドがそれを許さないのだろうか。黙って接収されたと知れ渡ると末代までの恥というような。
クヌートはそれを踏まえて、他への見せしめとしてケティルを徹底的に叩くつもりなのだろう。つまらん意地を張ると皆殺しになるぞと。勿論、クヌートの力ずくのやり方は現代のプーチンと同じで非道極まりないが、楽土建設を一代で成し遂げる野望のために急いでいるのだろう。ちんたら調整型で国費や戦費を調達していたら時間がかかり過ぎて領土の経営も拡大も頓挫してしまう。現代と違って、隙あらば攻め込まれるのがこの時代の北海沿岸地域。
おそらくトルフィンが目指す夢は、ヴィンランドという楽土(争いのない地)への移住。クヌートのそれは、既存の諸国を平らげて楽土を作ること。クヌートの道は血で舗装される。