始皇帝の法治主義は新し過ぎたんよなぁ。
だからこそ統一が成ったんだけど、その法治は苛烈だった。法によって裁き過ぎざるを得ないほど、当時の中華の臣民はまだ文明度が未熟だった。
また、法治主義に対して君子による徳治を望む儒教は相反する存在だったので、焚書坑儒が行われた。君主による徳治は、君主の人格と器量に依存するので、世代交代によって混乱が起きやすいという弱点がある。儒教は封建制と相性の良い思想だと思う。
始皇帝の後に真に法治主義が人類史において浸透するには二千年の時を要した。
史記は漢代に書かれているので、始皇帝の治世についてその苛烈さを特に強調しているが、五百年の戦国時代を終わらせて、新しい統治を実行したことは中華最初の皇帝に相応しい功績と言えると思う。
蔡沢最期の大仕事だった。
蔡沢は秦の先先代王の宰相。嬴政の信任厚く、外交工作のために斉に派遣されていた。高齢だしまさに命を賭す、全うするまでは死ねないという覚悟で任に当たっていただろう。秦の中華統一は、斉に敵対されなかったことで、早く成ったと言える。蔡沢GJ!
今シリーズはここで〆。
次からはいよいよ李牧との長い対決に入るかな。
戦国四大名将は、白起、廉頗、王翦、李牧。
李牧はこれまでは主に趙の北辺防衛で匈奴と戦ってきた。そして、あの強い匈奴を悉く撃退している。つまり、実戦経験はそこらの将軍よりもあるし、めちゃくちゃ強い。
この時期、楚と魏の方が趙よりも大きいけれど、趙の李牧が事実上、秦の最大の強敵と言える。