自己向上への“飢え”を集めたオーケストラ。
指摘が無理難題ではないからこそ、
うまくいった瞬間に投げかけられる
「今の良かったじゃねえか」
という言葉が、心からのものだと感じられるのだろう。
泣き崩れ、はじき出されるような経験をしても、
翌日には誰一人欠けずに集まってくる。
それを支えているのも、きっとこの“飢え”なのだ。
そして青野が座らされたあの椅子。
あれは評価の理不尽さを象徴するものではなく、
もしかするとコンマスへと続く、
一番近い席なのかもしれない――
そう思うと、また違った景色が見えてくる。
「楽しいだけじゃ上には行けねえんだ。」
「俺はお前たちの飢えを満たしてやりてえ。」
不器用だけど、まっすぐで、
本気で向き合う覚悟が滲む言葉だった。