サービス開始日: 2018-11-27 (2646日目)
至る所が、まるで魔の森のように感じられてきた。
「魔力酔い」という概念を知ってから他の異世界転生ものを見返すと、
どうしても都合の良さを感じてしまう。
とはいえ、それを言い出せば都合の良さの定義はいくらでも広げられる。
本作の肝となる設定でもあるし、
他作品との比較ではなく、この作品の中だけで考えていきたい。
社畜的合理思考、魔力酔い、世界の制約――
構造的な見どころは多い。
でも結局いちばん刺さるのは、こういう台詞だ。
「この館の全員が心配している」
「お前は一人じゃないんだ」
社畜は基本的に“ひとりで背負う生き物”。
・迷惑をかけない
・弱音を吐かない
・倒れても自己責任
そうやって“個”で完結しようとする。
だからこそ、
「お前は一人じゃない」
は効く。
しかも“館の全員”。
特定の誰かではなく、共同体全体が心配しているという宣言。
それは役割ではなく、存在を心配しているというメッセージだ。
「定時で帰ってこい」
「明日はそうします」
と一度きちんと救いを見せておいて――
次回予告
「休日出勤しました」
これは反則級に上手い。
さすがに吹き出した。
手紙をあんなに大きいカバンに入れていたのか。
そりゃ勘違いもされるよな……。
とはいえ他に小さいカバンを用意しているわけでもないだろうし、仕方ないのかもしれない。
それにしても、ガラケーが出てくるたびにどうしてもシュタゲを思い出してしまう……。
“刺さらない作品を抱え続けるコスト”は重い。
・説明不足が気になる
・ルールの曖昧さが許容できない
・覚醒に裏付けがほしい
・キャラの芯が見えづらい
・設定は強いのに整理が追いついていない
・成長の積み上げが感じられない
・キャラクターが立ちきらない
・ダークさだけが印象に残る
自分の中では、こうした点が最後まで拭えなかった。
7話まで見たけれど、これだけ時間をかけても噛み合わなかったということは、きっと相性の問題なのだと思う。
もう十分にチャンスは与えた。
ここで視聴終了。
うなじ属性の怪人。
「敵の後ろを取ることにかけてアルティメギルで私以上の者は居ない」
ここまでは普通に格好いいセリフだったのに、
「うなじを見るためにどれだけの研鑽を積んできたと思っているヴヴヴ!!」
ここで思わず噴き出した。
自分とは関係ない属性だけど、ここまで振り切っていると逆に清々しい。
こいつの生き方、嫌いじゃない(笑)。
巨と貧についてはどちらも良さがあるとして――
二人相手にイキって単騎で突っ込んだブルー(ヒーローあるある)を助けに入ったら、なぜかブルーが一方的に片方をボコっているという展開。
せっかく立てた“ヒーローあるある”を自ら崩していくのがまた面白い。
それよりも会長が「ちゃんと戦えるダクネス」だったのは驚き。
そして最後に出てきたメガネ属性の人物、あまりにも謎すぎる……。
森の妖精王キースの距離の詰め方は、少し早い。
でもあれは“恋愛対象”というより、触媒の役割なのだと思う。
森の祝福を与えた存在が自然にティアラへ近づくことで、アクアの中の感情がはっきりと形になる。
嫉妬は、関係が安定しているときほど輪郭がくっきり出る。
そしてあの一言。
「正解。」
たったそれだけなのに強い。
顔を隠す演出もずるい。
表情を見せないからこそ、こちらに想像させる。
きっと明るい笑顔の中に、ほんの少しの照れも混じっていたはず。
余裕の王子ではなく、“好きな子にちゃんと選ばれた男”の顔。
だから甘さが重い。
キースの駆け足は恋を加速させるための装置。
アクアの「正解」は、ティアラが自分を選んだという確認。
そして顔を隠すカットは、感情を見せすぎない品の良さ。
……これはキュンと来る。
――
後半。
このまま世界に浸っていたいのに、どうしても避けられない「ゲームとしての収束力」。
物語が甘くなりすぎると、必ず揺さぶりが入る。
それは視聴者のためでもある。
甘さは対比があってこそ際立つ。
だから今は、溶けきる直前で
ほんの少し現実を混ぜている段階。
そして森の妖精王の気まぐれ。
どこまでが本気で、どこからが戯れなのか分からない。
2人は、試されているのだろうか。
いや、もう少し深く読んでみよう。
――
今までは「逃げない」と自分に言い聞かせながら、抱きつくのが精一杯だったティアラ。
未踏の続編の地への不安も重なり、精神的にも疲れが溜まっていたのかもしれない。
だからこそ、少しゆっくり休んで、もう一度“信じる”気持ちを強く持ってほしいと思った。
信じるのは、アクアだけではない。
アイシラに対しても、だ。
アクアがアイシラに向ける優しさの本心は、彼女個人への情というよりも、彼女の心の安定を願うこと――
それが海の安定につながり、ひいては国の安定につながる、という責任の形なのだと思う。
けれどそれを言葉にしてしまえば、アクアの行動すべてが“打算”のように見えてしまう。
だからこそ、言わない。
でもきっと、アイシラは気づいているのではないか。
海と共に生きられればそれでいい。
あれだけの覚悟を持っている人なのだから。
ティアラ、アクア、アイシラ。
三人それぞれの覚悟が、今まさに試されているのかもしれない。
三人の覚悟。
・ティアラは「信じる」覚悟。
・アクアは「言わない」覚悟。
・アイシラは「求めない」覚悟。
信じることは、相手を縛らないことでもある。
言わないことは、責任を背負うこと。
求めないことは、自分の想いを飲み込むこと。
誰かが強く出る物語ではなく、
それぞれが静かに選んでいる物語。
だからこそ、甘さの裏に重みがあるのかもしれない。