至る所が、まるで魔の森のように感じられてきた。
「魔力酔い」という概念を知ってから他の異世界転生ものを見返すと、
どうしても都合の良さを感じてしまう。
とはいえ、それを言い出せば都合の良さの定義はいくらでも広げられる。
本作の肝となる設定でもあるし、
他作品との比較ではなく、この作品の中だけで考えていきたい。
社畜的合理思考、魔力酔い、世界の制約――
構造的な見どころは多い。
でも結局いちばん刺さるのは、こういう台詞だ。
「この館の全員が心配している」
「お前は一人じゃないんだ」
社畜は基本的に“ひとりで背負う生き物”。
・迷惑をかけない
・弱音を吐かない
・倒れても自己責任
そうやって“個”で完結しようとする。
だからこそ、
「お前は一人じゃない」
は効く。
しかも“館の全員”。
特定の誰かではなく、共同体全体が心配しているという宣言。
それは役割ではなく、存在を心配しているというメッセージだ。
「定時で帰ってこい」
「明日はそうします」
と一度きちんと救いを見せておいて――
次回予告
「休日出勤しました」
これは反則級に上手い。
さすがに吹き出した。
他の作品をいくつか見たあとに改めて本作を見ると、
貴族制度や序列の描写がかなり丁寧だと感じる。
権力構造や立場の違いがきちんと描かれている分、
逆に他作品の“貴族まわりの粗さ”が目についてしまうこともある。
このあたりは本作の強みだと思う。
その強みを土台に、主人公が理詰めで立ち回っていく展開は、見ていてとても気持ちがいい。
ロンディモンド→「ブルーチーズ総監が?」
ゼオンリー・フィンロール→「師匠から・・・」←ハチミツ先生じゃないんかい(笑)
そして中級魔術を初級魔術で破るクノン。
まるでとんちのような発想でクリアするあたり、実に彼らしい。
「勇者ヒンメルならそうした」というあの感じではないけれど、
どこか「師匠ならこうしました」と言わんばかりの解答。
好き。
時間制限があったとしても、きちんと突破の手立ては用意されていた模様。
そして何より、
偉い人たちの話は最後までちゃんと聞けw
テンポが良いぶん、ツッコミどころも多くて楽しい回だった。
全然別の作品の話になるのだけれど、
この回を見ていてなぜかDQ1の勇者とローラ姫、そしてドラゴンの関係を思い出した。
もし勇者がドラゴンを倒しきらず、ローラ姫だけを助けて去っていったら――
そのあと残されたドラゴンは何を思うのだろう、と。
今回のエピソードも、そんな「残された側」の感情を少し想像してしまう回だった。
手紙をあんなに大きいカバンに入れていたのか。
そりゃ勘違いもされるよな……。
とはいえ他に小さいカバンを用意しているわけでもないだろうし、仕方ないのかもしれない。
それにしても、ガラケーが出てくるたびにどうしてもシュタゲを思い出してしまう……。
人化の術はまだLv.1。
まあ、あの結果になるのも想定の範囲内。
ただMPの消費ペースが激しすぎる。
レベルが上がって消費効率が改善されないと、村に入って生活するのはかなり厳しそうだ。
そしてボス猿との決闘。
ステータスがほぼ均衡しているとはいえ、
毒を使わずにあそこまで互角に渡り合えるのは意外だった。
厄病古龍という種族値そのものが、思った以上に高いということなのだろうか。
今後の成長バランスがどう設計されているのか、少し気になる。
「助けてアクア」と呟いてからの自力復活。
奮い立たせてはいるけれど、立っているのがやっとにも見える。
それでも前を向こうとする姿が印象的だった。
そして探偵あかねのお仕事。
うん、確かに向いている。
間違いない。
移住や叙爵など、気になる点はいろいろある。
でもこの作品は、細かいことを詰めすぎない方が楽しめるタイプなのかもしれない。
今回は爵位を得て、独自ルートとして商会も確立。
さらに住民も増えて――
オリゴ糖とブドウ糖が立った(笑)。
勢力拡大フェーズに入った感じがあって、素直に楽しい回だった。
灯回。
昔と変わらないえーゆーに安心する灯。
でも灯が素直になると、こっちは逆に勘ぐってしまう。
あと料理が本当にうまそうだった。完全に飯テロ。
熱いお茶をこぼして灯のカバンを汚してしまったえーゆー。
でも灯が真っ先に心配したのは、自分のカバンではなくえーゆーの火傷した手。
布団を離して先に寝たはずなのに、結局入ってきて安心を求める。
「こっち向いて」
「好き……」
からの翌朝。
「はぁ?? 乙女の身支度覗いてんな!」
そしてバスで帰る灯が、昨夜の「好き……」を思い出す。
終始ラブコメだった気がするけど、
最後にえーゆー側が「???」状態なのがこの作品らしい。
ラブコメになりそうで、ちゃんとなりきらない。
だから安心して見ていられるのかもしれない。
しりとりパートも面白かったし、後半のテンポも良かった。
ラッキースケベ+相合傘+車の水撥ねをかばう → スケスケ → ビンタ。
王道テンプレをこれでもかと詰め込んでくる。
でもタイトル通り、ちゃんとラブコメになりきらない。
幼馴染同士の距離感も程よくて、妙に安心して見られる。
テンプレをなぞるのではなく、理解した上で転がしている感じが楽しい。
プチドキverで3〜5話を先に見ていたけれど、1〜2話が未配信だったのでオンエアverで1話から視聴。
思っていたより、1話からかなり攻めていた。
ラブコメ漫画が好きな主人公。
それを学習した幼馴染が、テンプレ展開を自らセッティングしていく構図が面白い。
けれど毎回きちんとタイトル回収してくれる主人公のおかげで、
ちゃんと「ラブコメにならない」に着地する安心感がある。
メタをやりながらブレないのが良い。
“刺さらない作品を抱え続けるコスト”は重い。
・説明不足が気になる
・ルールの曖昧さが許容できない
・覚醒に裏付けがほしい
・キャラの芯が見えづらい
・設定は強いのに整理が追いついていない
・成長の積み上げが感じられない
・キャラクターが立ちきらない
・ダークさだけが印象に残る
自分の中では、こうした点が最後まで拭えなかった。
7話まで見たけれど、これだけ時間をかけても噛み合わなかったということは、きっと相性の問題なのだと思う。
もう十分にチャンスは与えた。
ここで視聴終了。
せっかく外へ出られる平民になったのに~という嘆きから
てっきり「戦い以外で経験値を得る話」へ一気に別方向へ振るのかと構えていたのに――
普通にギルド → 情報収集 → 外でレベリング。
安心の廃ゲーマールート。
これは裏切りではなく、信念の確認なのだと思う。
世界が変わっても、主人公の“プレイスタイル”は変わらない。
そこがブレないから安心できる。
そしてホーク。あれは良い。
言うことを聞かない=反抗的、ではなく、
自我があるから選択する。
「助けたい人がいたから教えた」
この一言は大きい。
召喚獣が“道具”ではなく、意思を持つパートナーになった瞬間だった。
しかもギルドでの軽い繋がりがきちんと回収される構造。
この作品は、
・無駄な伏線はあまり張らない
・張ったものはちゃんと回収する
・その代わり派手ではない
というタイプ。
だからこそ「丁寧に積む」。
さらに、魔獣召喚に同等ランクの魔石が必要という設定。
ここが最高にヘルゲーマー。
強くなりたい?
→ なら素材も同等に揃えてね。
簡単に“召喚ポン”しない。
効率厨に効率を強いる世界設計が、妙に気持ちいい。
うなじ属性の怪人。
「敵の後ろを取ることにかけてアルティメギルで私以上の者は居ない」
ここまでは普通に格好いいセリフだったのに、
「うなじを見るためにどれだけの研鑽を積んできたと思っているヴヴヴ!!」
ここで思わず噴き出した。
自分とは関係ない属性だけど、ここまで振り切っていると逆に清々しい。
こいつの生き方、嫌いじゃない(笑)。
巨と貧についてはどちらも良さがあるとして――
二人相手にイキって単騎で突っ込んだブルー(ヒーローあるある)を助けに入ったら、なぜかブルーが一方的に片方をボコっているという展開。
せっかく立てた“ヒーローあるある”を自ら崩していくのがまた面白い。
それよりも会長が「ちゃんと戦えるダクネス」だったのは驚き。
そして最後に出てきたメガネ属性の人物、あまりにも謎すぎる……。
あの剣、てっきり一振りで折れる展開を期待してしまったけど、
実際は魔法の媒介であって、剣そのものを使っているわけではなかったらしい。
しかも刃もついていないとは(笑)。
そこ以外は、終始厨二全開の回。
振り切っていて嫌いじゃないが・・・虚しいシーンが多くて少し辛かったw
冒険者やギルド、ひいては人々のためにモンスターやダンジョンを研究している学者の父。
その父を冒険者に馬鹿にされ、泣くことしかできなかったコッコ。
そこへ帰ってきたリルイとハジメ。
リルイの「父親は賢いけど、コッコはむかつく」みたいな不器用な言葉が、凍りついたコッコの心をそっと溶かす。
あの場面は本当に良かった。
その後リルイは、自分にできないことがいくつもあると気づく。
ただ羨み妬むのではなく、「今できること」をやり切ると決める。
学校へ行き、コッコの夢を聞き、そして自分の夢――
「すごい冒険者になりたい」を見つける。
夢はダンジョンの奥に転がっているものではなく、すぐそばにあったのだと感じさせる展開だった。
リルイに少し心を許し、丁寧に読み書きを教えてくれるコッコ。
次第に友達の輪に溶け込んでいくその様子を、コッコの父親とハジメが茂みの外からそっと見守る。
まるで“親が木陰から立って見守る”ような構図で、とても温かかった。
――
村付き冒険者の仕事は、誰にでもできるクエストかもしれない。
でもそれを誰もやらなければ、村は存亡の危機に瀕する。
文句ひとつ言わずそれをやり続けるハジメの姿を知り、
「ハジメみたいになりたい」と思うリルイ。
今回は、心の成長を丁寧に描いた回だった。
オルンが過去にひっそり属していた何らかの勢力。
オリヴァーを立ててまで隠し通していた謎と、そこに関わるシオン。
かつてシオンが立てた誓い――「いつかオルンに追いつく」。
しかしその後、本当にオルンからなのかどうかは不明ながら「一緒には戦えない」という手紙を受け取る。
その後のし上がっていくシオン。
一方で勢力の上層部は、シオンに対して「オルンは死んだ」と思わせている様子。
黒竜単独撃破の情報がその勢力に届くと、「オルンならダンジョンマスターを倒すはずがない(デメリットしかない)」という意味深な反応。
その謎の勢力は教団と対立関係にあるらしい。
少しずつだが、ぼんやりと構図が見えてきた気がする。
シオンが引き連れていた者たちは探索者なのか、それとも別の立場なのかはまだ不明。
ただ、魔物ではなく“人間”を殺している描写があったのは気になる。
あれもその勢力の”シゴト”なのだろうか。
そして次の標的は、黒竜を単独撃破したオルン。
再会した二人は何を思うのか。
後半は、前半の濃さとは対照的に分かりやすい展開。
夜天の銀兎のパートは比較的シンプルだった。
オルンはクランに属するが、優先するのは「クラン」という組織そのものではなく、「そこにいる仲間」。
似ているようで、決定的に違う。
その姿勢を明確にした上で幹部として入団、第一部隊所属。
新パーティとの顔合わせ後、武器を適当に買おうとするオルン。
確かに能力を何倍にも引き出せるなら市販品でも問題ないのかもしれないが、立場上それは難しい。
……あと、お姉さん判定をバストサイズで決めるな(笑)。
誰の影響なのか。オルンの過去が分からないと解釈に迷う。
黒竜戦で失った仲間の代わりとして加入したオルンが、深層素材を次々と取り出す。
その中でもひときわ目立つ黒竜の鱗。
これでオルンの剣を作ることに。
ただ、そんな希少素材を使った剣が2日程度で完成する世界観なのだろうか。
まだこの世界の時間感覚や技術水準が掴みきれていない。
森の妖精王キースの距離の詰め方は、少し早い。
でもあれは“恋愛対象”というより、触媒の役割なのだと思う。
森の祝福を与えた存在が自然にティアラへ近づくことで、アクアの中の感情がはっきりと形になる。
嫉妬は、関係が安定しているときほど輪郭がくっきり出る。
そしてあの一言。
「正解。」
たったそれだけなのに強い。
顔を隠す演出もずるい。
表情を見せないからこそ、こちらに想像させる。
きっと明るい笑顔の中に、ほんの少しの照れも混じっていたはず。
余裕の王子ではなく、“好きな子にちゃんと選ばれた男”の顔。
だから甘さが重い。
キースの駆け足は恋を加速させるための装置。
アクアの「正解」は、ティアラが自分を選んだという確認。
そして顔を隠すカットは、感情を見せすぎない品の良さ。
……これはキュンと来る。
――
後半。
このまま世界に浸っていたいのに、どうしても避けられない「ゲームとしての収束力」。
物語が甘くなりすぎると、必ず揺さぶりが入る。
それは視聴者のためでもある。
甘さは対比があってこそ際立つ。
だから今は、溶けきる直前で
ほんの少し現実を混ぜている段階。
そして森の妖精王の気まぐれ。
どこまでが本気で、どこからが戯れなのか分からない。
2人は、試されているのだろうか。
いや、もう少し深く読んでみよう。
――
今までは「逃げない」と自分に言い聞かせながら、抱きつくのが精一杯だったティアラ。
未踏の続編の地への不安も重なり、精神的にも疲れが溜まっていたのかもしれない。
だからこそ、少しゆっくり休んで、もう一度“信じる”気持ちを強く持ってほしいと思った。
信じるのは、アクアだけではない。
アイシラに対しても、だ。
アクアがアイシラに向ける優しさの本心は、彼女個人への情というよりも、彼女の心の安定を願うこと――
それが海の安定につながり、ひいては国の安定につながる、という責任の形なのだと思う。
けれどそれを言葉にしてしまえば、アクアの行動すべてが“打算”のように見えてしまう。
だからこそ、言わない。
でもきっと、アイシラは気づいているのではないか。
海と共に生きられればそれでいい。
あれだけの覚悟を持っている人なのだから。
ティアラ、アクア、アイシラ。
三人それぞれの覚悟が、今まさに試されているのかもしれない。
三人の覚悟。
・ティアラは「信じる」覚悟。
・アクアは「言わない」覚悟。
・アイシラは「求めない」覚悟。
信じることは、相手を縛らないことでもある。
言わないことは、責任を背負うこと。
求めないことは、自分の想いを飲み込むこと。
誰かが強く出る物語ではなく、
それぞれが静かに選んでいる物語。
だからこそ、甘さの裏に重みがあるのかもしれない。
2話あたりから転生者を匂わせていた彼女が、やはり転生者。
しかも続編プレイ済みで、本作主人公より未来を知っている立場だったとは。
重度のアクア推しとして、聖なる祈りで奪おうとするも失敗。
未プレイのまま亡くなったことを嘆き取り乱す姿は、ゲームを本気で愛しているプレイヤーそのもので、どこか憎めない。
あかりの転生者バレは、ただのどんでん返しではない。
彼女は
「悪役令嬢の敵」ではなく、
“アクアというキャラを愛しすぎたオタク”。
しかも続編プレイ済みという、一段上の視点。
未来を知っている=物語の行方を知っている側。
それでも――
奪えなかった。
ここが静かに尊い。
彼女は敗者かもしれない。
でも悪役ではない。
推しを本気で愛した人だ。
身の危険に迷わず助けに入るアクアもさすが。
そしてアクアの国へ向かう一行に、あかりから手紙が届く。
「ハルトナイツと上手くやるから、2人も幸せになって」
この国の言語で綴られた手紙の追伸に、日本語で――
「続編のヒロインに負けたら承知しないから」
これは宣戦布告ではなく、
“同志からのエール”だと思った。
同じゲームを愛し、
同じキャラを愛し、
でも選ばれなかった側からの、潔い祝福。
しかも日本語。
物語世界の人間としてではなく、プレイヤーとしての彼女からの言葉。
だからティアラがその手紙を大切にしたいと思うのも自然だ。
“選ばれたヒロイン”としてではなく、
一人のゲーム仲間として認められた証。
この一文に込められた愛情が、とても良かった。
あの手紙を大切にしたいと思う主人公の気持ちが、自然と理解できる回だった。
アクアの回想――
あれは単なる過去描写ではなく、「彼がいつ恋に落ちたのか」の答え合わせだと思った。
滅多に使わない魔法を使い、雨から本を守った。
表向きはそれだけの出来事。
でも本当は“本”を守ったのではない。
彼女が大切にしているものを守ったのだ。
その瞬間、理屈よりも先に感情が動いていたことを、彼自身も自覚したのではないだろうか。
ああいうタイプの王子は、「好きになった」と言葉にする前に、もう行動が答えを出している。
そして――
彼女が倒れたとき、ティアラを運んだのがアクアだったこと。
あれは静かな告白だ。
婚約破棄の場で誰よりも冷静に見えながら、実はずっと彼女を見ていた。
ハルトナイツの婚約破棄からアクアの求婚へと続く流れの中で、アクアが王に一礼するシーンをきちんと描いているのも印象的だった。
あの一礼が、彼の人となりに厚みを与えている。
“奪う”のではなく、“拾い上げる”。
この作品の溺愛は、強引さではなく、選び直す覚悟の甘さなのだと思う。