「くだらない事をどこまで信じられるか、なんだから」
希望を失った漂流者たちのその後。皆偽りの希望に縋る事で生きる目的を保っている。無意味な労働、二つ星の諦観漂う言葉、バベルの塔という壮大な空っぽ。まるで現実を一皮剥いた姿を覗き見しているような生々しさを感じました。
そしてその失望の渦の中で、何事も人生の”当事者”になろうとせず、常に”観測者”に留まっていた長良が抗い自分の道を歩もうとしている。彼の変化には驚くばかりですが、自分が自分を諦めてきた事で実は多くの人を巻き込んできたという事実を知った重みが彼に腹を括らせている気がしました。
「みんなわかってるはずだ。結局何処に居たって僕らは抗い続けなきゃいけないって」
らじたにがアリの観測を通して復活した様に、逃避は必ずしも悪いものとは言えません。しかしバベルの塔のように永遠に逃げ込む事も出来ないわけで。希望と逃避は表裏一体、紙一重なのかもしれません。