原作マンガだけでなくアニメの方でも完結まで見ることができて本当に良かった。この作品は、主人公の坊っちゃんが触れた生物の命を奪う呪いをかけられてしまうという、描き方によっては極めてシリアスな作品にもできる設定だけど、この作品はそんな設定の中でも楽しくコミカルに、そして温かみを感じられる作品として描いていて、面白かったしとても見やすかった。おとぎ話のようにも感じられる雰囲気の中で、坊ちゃんとアリスのラブラブな様子、人間や魔女など種族も様々かつ1人1人が個性的なキャラクターの登場とその友情や愛の物語が素晴らしかった。ファンタジックなラブコメではあるんだけど、恋愛だけではなく、家族愛や友情などの様々な関係性を描き、いずれもすごく温かくて、優しいものだった。そしてこういう要素を成立させている最大の要因が、キャラクターに悪人がいなかったことだと思う。主人公の坊ちゃんやアリス、その周りの人達は勿論、一見冷徹のように思えるけど実際はただ不器用なだけで、けど不器用なりに子ども達を愛していた坊ちゃんの母親のガーベラ、呪いが原因で坊ちゃんを遠ざけてしまうけど、そのことを悔やんでいたフィリップ、さらには坊ちゃんに呪いをかけた全ての元凶であるシャーデーも、嫉妬などによって道を間違えてしまったものの根は決して悪い人物ではなかった。だからこそ、最終的にはキャラクター皆が強い絆で結ばれ、それぞれがハッピーエンドを迎えることができた。全員の心の中に優しさがあったから、楽しくそして温かい作品になったんだと思う。ストーリーやキャラクターが魅力であることの他に、アニメ独自の演出として、ミュージカルのような形で所々に挿入歌を入れてたこともこの作品の面白い所の1つだった。色々な場面で流れる挿入歌は、歌っているキャラの個性がよく出ていたし、その場面の雰囲気をより良くするものだった。ファンタジックでおとぎ話のような、そして楽しく優しい、本当に素晴らしいラブコメだった。