コスプレを通じた登場人物達の友情、恋愛、家族愛等の人間ドラマが描かれており、非常に見応えのある面白い作品だった。
リリエルというキャラクターを愛する主人公の奥村先輩と、同じくリリエルを愛しリリエルのコスプレを趣味としていたリリサが出会った所から始まった本作は、2人がコスプレイベントを通じて様々な人達と出会い、人間として、加えて奥村先輩はリリアを撮るカメラマンとして、リリサはコスプレイヤーとして、それぞれが成長していく様子、そしてその周りの登場人物達の成長や関係の変化を丁寧に描いていた。キャラクターも皆すごく魅力的で、どのキャラからも自分の好きなものに対する愛や熱意を感じたし、それを原動力にして困難にも立ち向かっていく姿にはすごく感動した。スポーツとは違うものではあるけど、コスプレやその撮影に真剣に打ち込む姿やキャラクター達が仲を深め、共に前に進んでいくという展開は、少年漫画らしい王道展開だったし感動的な青春の物語だった。「四天王」みたいな存在も少年漫画っぽくて個人的に好みだった。
熱い人間ドラマの中では、青春作品らしく恋愛要素も含まれていて、奥村先輩とリリサ、美花莉の恋愛模様がどうなるのかも楽しみな要素だった。現実の女性を信じることができず、それ故恋愛もできないという奥村先輩の不安は、作中でリリサ達と過ごして、最終回で美花莉の想いを知って、そしてまゆり先生の言葉を聞いてある程度緩和されて、奥村先輩なりに恋愛と向き合う準備ができたと思う。2期以降の展開に大いに期待したい。
ストーリーの中でも個人的に特に面白かったと思うのが2クール目の夏コミ編。リリサ、美花莉、そして2クール目から登場したノノアとアリア、4人で天使空挺隊のコスプレのあわせを夏コミで披露するという、1期の集大成のような熱い展開と、アリアと父親であるキサキ先生の再会、家族愛が描かれた素晴らしい章だった。キサキ先生に対する奥村先輩の叫びは、声優の榎木淳弥さんの熱演が最高で、奥村先輩が抱いていた色々な感情、そして作品への愛がすごく伝わってきた。他にも、問題を1人で抱え込みがちだったリリサに対してノノア達が気持ちをぶつけ、4人で協力して最高のコスプレを実現させるという友情のドラマも最高だった。夏コミというイベントの特徴が話の中にうまく落とし込まれていて、ストーリー構成や演出の面でもすごく完成度が高かった。
2期以降も、コスプレを通じたキャラクター達の人間ドラマや熱い展開が見られるのが楽しみ。2期は新キャラ登場や、学園青春モノの定番イベントである文化祭編があるらしいので、この作品の場合はどういう文化祭編になるのかも楽しみにしてる。