地上波で3回に分けて放送されたが、カットも多く、食い足りなかったので改めてノーカット版を視聴したという経緯。
なんと上映時点での全プリキュア(但しキュアエコー除く)が登場。それがいつものオールスターズ作品の様なお祭りかといえば、そんなことはない。
本作に登場する敵ミデンは、プリキュアの思い出を奪って自らの力とする。我々プリキュアファンはプリキュア本人達と思い出を共有してきたから、ミデンは我々の思い出をも冒す敵であるということになる。
プリキュアシリーズは元々、未就学児童の為のもの。その文脈でショーなどでも「大人は自重せよ」と度々言われるし、大友(大きなお友達)のほとんどはそれを承知している。しかしこの「オールスターズメモリーズ」という作品に限っては、現役ファンである未就学児童はもちろん、かつて未就学児童だった「卒業生」や、作品自体に魅了された「大友」たちも含めた、プリキュアに何らかの思い出を持った全てのファンが対象になっている。
公開中、大友は劇場でミラクルライトをもらうことが出来なかったけど、大友の「心のミラクルライト」も本物のミラクルライトと同じ力を持つとされる。劇中にミラクルライトが奇跡を起こすシーンは2回あり、そのどちらもプリキュアたちが記憶を取り戻す(プリキュアに戻る)シーン。視聴者が手にしているのが「心のミラクルライト」であるかを問わず、ミラクルライトを持つ全てのプリキュアファンに参加の資格があり、劇中で等しく奇跡を起こす。
各々の推しプリキュアへの応援の為にライトを振ることができるとは、なんともメタな視聴者参加の仕掛けだけど。それはプリキュアの歴史そのものの肯定という、15周年記念作品にふさわしい仕掛けでもある。
多くの「卒業生」たちは、自分が現役のファンだった頃の世代のプリキュアを応援したことだろう。
これは持論なんだけど、プリキュアは確かにたくさんいるけど、全員にそのプリキュアを推しとするピュアなファンが存在するはず。だから、プリキュアの歴史そのものを肯定する本作には、全てのプリキュアが登場する必要があった。
本作でプリキュアの歴史を共有した全てファンに、願わくば他のファンへの優しさを持って欲しい。どうか、プリキュアの優劣を競ったり、順位付けしたりすることを辞めて欲しい。全てのプリキュアは等しく尊く、そこに優劣などないのだ。