キュアフローラ生誕祭として視聴。
プリキュアシリーズに通算2,000話近くあるエピソードの中で、神回とまで呼んで良い回はほんのわずか。この回はその神回に該当。
「プリキュアを助けてくれる、イケメンの男性キャラはいない」
それはプリキュアシリーズ当初からのアイデンティティであり、ここまでにシリーズが10年余りの歴史を積み重ねても、そこから大きく逸脱したキャラクターが登場することはなかった。
ではカナタはどうだったのか?過去の男性キャラと違って、カナタは自ら戦うこともできる。彼はプリキュアを助けてくれるイケメンの男性キャラではないのかといえば、そうであると言えるし、そうではないとも言える。
カナタは甘い言葉ではるかを挫折から救ったりはしない。肝心なところではるかを救わない。それどころか、はるかを挫折させた引き金を引いてしまったのは他ならぬカナタだった。
はるかの様な、ドレスアップキーに選ばれてしまうほどの「プリンセスの天才」であっても、夢に行き詰まることはある。夢はポジティブな感情ばかりを与えてくれるものではない。
はるかの夢はどこから生まれたのか?そのルーツは、幼い頃のはるか自身だった。はるかにドレスアップキーを与えたのは確かにカナタだったが、元々プリンセスという夢を持っていた、はるかの背中を押したに過ぎない。夢の主体はあくまではるか自身だった。
王子様にすがることなく、肝心なところでは自力で立ち上がるプリンセス。そんな、強い主人公像に魂を揺さぶられる。