サポーター

ぷーざ
@pooza

Annictサポーターになると広告を非表示にできます。
とても良い

ジャンプコミックス36巻収録分。
表紙裏コメントは三条先生。まさにこの「閃光のように」について。

ファンにとっては言わずと知れた成句、「閃光のように」の元ネタにあたるこの回。まずは「原作と寸分違わず映像化してくれてありがとう」と、スタッフに感謝したい。
多くの名言をもつダイ大の中で、まぶしく燃え生き抜く人間の生き様について語った今回のポップの台詞を、メインテーマそのものと解釈したファンも多く居るだろう。新アニメが始まってからこの回の放送日まで、自分も、まずはこの台詞を聞く為に視聴を続けてきたと言っていい。

三条先生の表紙裏コメントによれば、この回の原作はいわゆる「キャラが勝手に喋り出した」ことで生み出されたエピソードだという。
自分は物語を書く人の中には2種類いると思って、それは「憑依」タイプと「神の視点」タイプと。自分が「憑依」の概念について認識したのは、新沢基栄先生が代表作「3年奇面組」(のちの「ハイスクール奇面組」)のネームについて同様のことを語った時のことだけど。
他にも多くの作家氏が似たような経験についての証言をするにつけて、「物語に必要なのは、まずは魅力的なキャラクターづくり。各種設定はキャラクターを引き立たせる為の要素に過ぎず、プロットは自然と生み出されるぐらいが理想」と考える様になった。憑依が出来るタイプの作家さんには、特に言えることだと思う。
熱量高いが展開自体は論理的なダイ大に於いて、三条先生は後者の「神の視点」タイプだと思っていた。しかし、この回ばかりはポップに「憑依」したと語っているのが興味深い。

その一方で、この回の要素。
例えば、メルルが「地上の仲間たちは無事」と報告することも、大魔王と冥竜王が「雲の上の会話」をすることも、ロン・ベルクが「今までの生涯に匹敵する輝きがあった」と言い放って大魔王に反抗することも。これらの要素全て、ポップが死生観すら超えた「閃光のように」生き抜くことへの矜持、そこにたどり着く為のヒントとして用意されたものだったと気付く。
ポップに「閃光のような」生き様を語らせるという脚本上のゴールがまずあって、このゴールに到達する為の要素を周到に配置。この回はまさしく「憑依」と「神の視点」の両方を併せ持ったエピソードだったのではないかと。

三条先生が別の機会に、ポップのことを「口語などが自分と全く同じ」分身のようなキャラクターであると語ったことがある。
憑依には「天から下りてくる」頂き物であるかの様なニュアンスがあるけど、創作者の戦略として、物語の中に「自分自身の分身を配置する」という方法論があったのかもしれない。
そう考えれば、最後の「バッカヤローッ!!!!」は三条先生ご自身の口癖だっただろうかw



Loading...