バレンタイン回という賑やかな内容であるはずなのに、雪ノ下家の二人が重苦しい雰囲気で雪乃や八幡を追い詰めてくるものだから、非常に後味が悪い
ただ、それもこれも全ては自分たちの関係性がどのようなものであるのか、という問いを後回しにしていたツケが巡ってきたから
クリスマス会を通じて距離が縮まり幾つかのイベントを過ごしてきた奉仕部の三人。その様子はとても仲の良い友人であるように見えるけど、八幡が人間関係の中に本物を求め、雪乃が八幡に必要以上のものを求めてしまっている現状は非常に危ういもの
多くが見えてしまう陽乃からすれば今の雪乃の有り様は詰まらないものに見えてしまい、母からは以前の雪乃と比べて「貴方はそういう事をしない子だと」などと呪いのような言葉を投げかけられてしまう
雪乃がそのような反応をされてしまうのは、きっと自分の有り様を他人に規定されてきた過去があるから
葉山には元々その傾向が顕著だったが、多くの人は誰かが規定した自分に則って動いている。それは決して本物とは呼べない
皆の望む葉山であろうとする彼は特定の誰かとだけ接近することは出来ない。だから今回のような試食会の形を取ったイベントは渡りに船。それどころか本音を隠したこの試食会に対して「皆自然に振る舞える」と言ってしまう
葉山にラブコールを送り続けるいろは。今回も葉山にチョコを渡すことが目的だったが最近のいろはは「葉山を好きでいる自分」と、八幡との距離を縮め盛んに関わろうとする姿のバランスが崩れているように見えてしまう
八幡も本来ならリア充感溢れるイベントは馴染めない筈が、「味見役」という言い訳めいた役を与えられ溶け込めるようになる。
それらは本物を求めて居たはずの八幡が受け入れては行けないはずのもの。そりゃ、陽乃からすれば、今のぬるま湯につかっているかのような八幡を見れば不快に思うだろうね
唯一今回の件に対して異なる反応を示したのは平塚先生。あの場に集まった者を八幡が関わった人間と評し、「この光景を見られて良かったよ」と呟いた
本物なんて求めなければ、多少の嘘を交えつつもこの光景の延長にあるものを八幡は手に入れられるだろうね。けれど、少しでも本物を求めるのなら、この光景を否定しなければならない
少しずつ雪乃が何から助けて欲しいのか見えて来る中、そろそろ奉仕部の関係性を見つめ直す時期が来ているのかな