登場早々から軽々しい態度をとるアレックスがこの作品に馴染めるのか、まだあまり見えてこない。それでも「相手の気持は聞かなきゃ判んない。自分の気持は言わなきゃ判んない」という彼の台詞はこんがらがってしまった夏生達の関係性を解決するには良いヒントになったようだね
相手が何を考えているか知るには推測するだけでなく、言葉を通じたやり取りは絶対的に必要になる
瑠衣が自分の気持ちに気付き始めたのはそれをマスターに相談したからだし、今回の自覚に至ったのは夏生がアレックスを紹介しようとする言葉に腹を立て、その後謝罪の言葉を聞いた上であれやこれやをしたから
それによって瑠衣は、夏生と同居を始める際に「出会った日にしてしまった事を忘れる」という約束を無意味にしてしまう。母親の再婚を応援するために忘れたはずなのに、今は自分の想いに真っ直ぐになりすぎて家族への配慮を忘れてしまう。だから陽菜にも見られてしまう
……だから反省してもうしないのかと思いきや、「暫く控えた方が」程度に収めようとする瑠衣は本当に自分の想いに真っ直ぐですね……。口に出して自分の想いを明確にしてしまった瑠衣はもう夏生と「家族」で居る気が無い事がありありと伝わってくる
陽菜は前回、夏生の告白を聞いた上で明確に振ったわけだけど、それによって夏生との距離感が曖昧になってしまう。瑠衣と夏生の行為を見たことでその傾向は更に強まる。瑠衣とは逆に、語らぬことで自分の気持ちを存在しないものとして扱おうとする
けれど、それはどこか子供っぽい遣り方。夏生に問い詰められて手を噛んで逃げ出したり、マスターに痛い所を突かれて言い訳してみたり。
でも陽菜はどうしたって大人だから子供に戻ることは出来ない。それが子供の葉大が差し出した飴を舐めることで擬似的に子供に戻ることが出来た。夏生に向かって子供が駄々をするように包み隠さぬ本音を曝け出すことが出来る。瑠衣への羨望、嫉妬心。でもそれを抑えなくてはという理性。
こういった本音は「家族」でも「教師と生徒」でも聞くことは出来なかっただろう本音。この瞬間に二人は境界線を跨いでしまったのだろうね
互いの想いを晒け合い、密かに手を繋いだ夏生と陽菜。瑠衣との事がまだまだ継続しそうなこと、ももや美雨の件も併せて考えると夏生の女性関係がとんでもない事になりそうな予感が……