信念は人を活かしもするし、殺しもすると感じさせるような内容だった
どろろの過去が明かされる今回。やはり目を引くのはどろろの両親、火袋とお自夜の生き様だろうね
侍に多くを奪われてきた農民だからこそ、俺達も生きてる人間なんだと教えるために侍だけを襲う集団を組織した火袋。それは明確な信念が無ければ出来ないこと
だけど、信念に従い戦い続けるのは非常に危ういこと。そう考えればあの時代で少しでも安全に生きる為に信念よりも利口さを選んだイタチを責めることは難しい
イタチに裏切られ、仲間が居なくなり、重症を負ったのに火袋は信念を変えない。あの状況なら野盗になり他人から食料を奪ってもおかしくないのに、彼らは信念を守り死者から食べ物を拝借するだけ。その生き様は地獄を彷徨っているかのよう
けれど、そんな火袋を殺すのもまた信念であるのも悲しい
火袋達によって殺された侍の生き残りは、火袋に再会した事で復讐を果たすことこそ自分の生き残った意味だと確信する。結局、その侍は返り討ちにするがそこから始まる乱戦によって火袋は命を落としてしまう
火袋が掲げた理想が回り回って火袋を殺してしまう
生き残ったお自夜も誇りと信念を忘れずに生き続けようとしたことが伝わってくる。時間が経つごとに痩けていくお自夜と変わらないどろろ。それでも彼女は以前どろろが言ったように身体を売るようなことはせずどろろを守り続けた。
彼女がどれだけの誇りと信念でどろろを守ったかそれだけでも伝わってくるが、最も凄まじいのは掌で雑炊を受け取るシーンか。単純に雑炊を分けて貰うだけなら、地面に落とすなど他の方法が有った筈。けれど、母親として農民として誇りと信念を捨てず、どろろを守ろうとしたお自夜はそんな方法は選ばない。
結局、彼女もその信念によって命を落としてしまう
けれど、それらの信念がどろろを強い人間として生かしたのも確かな事で。
戦なんかに負けねぇと性別を隠し、信念を抱えながら一人生き抜いたどろろは立派なもの。女であると知った事に口をつぐみ続けた百鬼丸の姿勢はどろろのそんな生き様への称賛の念が感じられるようだった
一方、疑念の果てに百鬼丸の足跡を掴んだ景光。彼の信念は自分の領地の為に百鬼丸を犠牲にした時から変わっていないように感じられる演出だった