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とても良い

醍醐の里で起きたことが再現されたようで実情は違うのが印象的

醍醐も鯖目も地獄に成り果てた領地を救うために鬼神と契約した。それによって醍醐は息子を、鯖目は小さな子どもたちを生贄にした
また、鯖目が山から自分の領地を見下ろし、里を守ると宣言するシーンは多宝丸に重なる
笑顔に溢れ、活気に満ちた両者の里の様子は他の土地ではまだまだ地獄が続いているなどとは到底信じられないようなもの

でも、両者について決定的に違うのは百鬼丸の立ち位置
醍醐に対して百鬼丸は「奪われた者」であり排除された側だった。だからある意味百鬼丸には奪われたものを取り戻す権利が有った
しかし、鯖目の里に対して百鬼丸はただの旅人。鬼神に対して因果を持っていても、鯖目の土地に対しては何の関わりもない。里の実情を無視して自分の為に身体を取り返そうとする行為はむしろ百鬼丸を「奪う者」に位置づけてしまう
こうなってしまう理由は結局の所、百鬼丸に見えるものが非常に少ないため

鯖目はこの土地以外を知らないと言った。そんな鯖目の下で守られる土地はいわば独自の在り方が存在する。里の繁栄の為なら子供を犠牲にするのは仕方ないし、その事件について口を閉ざし、探る余所者を警戒するのも当たり前。外から来たものからすれば異質な状態が蔓延している。しかし、それによって平穏が保たれているのも確か
百鬼丸も独自の在り方を持つ。眼が見えない彼は魂の色で善悪を判断する。更に身体を取り戻すことを人生の至上命題に掲げてしまった彼は他人のルールを受け入れられない。
鯖目の土地の事情もどろろの心も気遣えない。自分の行動によって相手に何が生じるのか考えられない

そんな鯖目や百鬼丸と違い、どろろはまだ何も独自のものを持っていない
米蔵に落とされた際は「あいつらヤバイよ」と言うが、一方で村の事情を顧みず鬼神を倒した百鬼丸の行為を「こんなのやっぱおかしいよ!」と糾弾する
背中に地図を持ちつつも、まだ何の道も選んでいないどろろ。ひとまずは百鬼丸とは別の道を行くことにしたどろろの前に現れた、もう一つの地図を持つイタチはどろろにどのような判断を齎すことになるのだろうか?



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