イタチは金によって、しらぬいは人への絶望によって、多宝丸は国を守る為。元の姿から変わり果てた者達の在り様が描かれる
イタチは当初、安定を手にするために火袋を騙した。その後、自分たちを蔑ろにした侍から離反した。地蔵に金が隠されているのではないかと探る中でイタチは「これがあれば俺達はもっとマシな所へ行けるんだ」と呟く。彼は金そのものではなく、金によって状況を動かすことを望んだ。
イタチは醍醐に追い詰められても逃げる道は選ばない。戦から逃げるには金が必要だから、宝を見つけるまでは逃げられないと考えているから。結局の所、彼は戦から逃れようとし続けていたということなんだろうね
……そんなイタチでも金によって全てが変わってしまったわけではなくて、爆発のシーンで咄嗟にどろろを庇った描写には彼の変わらぬ優しさが滲み出ているようにも思えた
しらぬいは母の死を目前にする中で人間の弱さに絶望する。その反動で鮫の強さと何にも縛られない在り方に魅了される
憧れるということはそれに成りたいと願うことでも有って。16話で次郎丸達の分前を貰おうとする発言が有った。つまり、彼は鮫になって人間の在り方とはおさらばしたかったという事なのかな
しらぬいは人間にも、そして人間である自身にも絶望していた。だから次郎丸を傷つけたイタチを殺すために躊躇なく自爆できる
波打ち際に接するように死んでいたしらぬい。人にも鮫にもなれない彼の在り方を示しているようだった
民と国を背負う覚悟をした多宝丸は三人がかりとはいえあの百鬼丸を圧倒する。その強さは百鬼丸をしてこの前とは違うと言わしめるほど
一時は百鬼丸を追い詰めるものの、深入りしてしまったために土砂崩れに巻き込まれ兵庫に重傷を負わせてしまい多宝丸は退却する
前回は鼠妖怪に冷徹さを見せつけた多宝丸だが、大切な供の怪我を前にして百鬼丸追討を優先し続けることが出来なかった。彼の甘さが垣間見えたシーン
どろろは宝の使い方が判らないからと大金はそのままに。けれど、旅に必要な分だけ「別勘定」と言って持ち出す。
どろろが最も優先しているのは生きること。だから大金は要らないが、小金すら要らないとは思わない
今回登場した他の者の有り様を見るに、金を前にしても、かつての仲間の死を前にしても変わらぬどろろの在り様が眩しく見える、そんな回だった