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とても良い

物の怪憑きの草摩の人は様々な苦難を抱えるけど、杞紗に訪れた苦難はそれとはちょっと別の方向性。
毛色が違う物の怪憑きとして見た目を指差されることに始まり、それへの抗弁は無視に繋がり、やがて何をしても笑われるようになってしまった杞紗。物の怪憑きであることを始まりとしつつ日常にある苦難へと至っていく
日常の中にある苦難だから誰だって持論をぶつけて「こうすればいいじゃないか」とか「貴方が変われば良くなる」とか解決法を見いだせると思ってしまう。
でも、虐められた中で必要なのは解決法とか改善策ではなくて、もっと単純に自分の気持ちに寄り添ってくれる人がいるのかどうか、という点なのだろうね

今回杞紗とか関わった面々は、杞紗の問題を解決しようとして言葉を掛けたのではなく杞紗の気持ちに寄り添おうとしたのだろうなと思える
紅葉は杞紗みたいな目にあったことはないと言いつつ、どんな気持ちだったのかと自分が同じことをされた場合を想像して涙を流す。透も釣られて涙を流す
潑春は小さい頃、その見た目や丑の来歴から自分の気持ちを無視してとやかく言われた経験がある。杞紗が今陥っている境遇が少し共感できる
透も虐められていることを母親に言えなかった時期があった。結局知られてしまってそれが恥ずかしくて、でも「大丈夫だよ」と言われた経験が何よりも安心できたと今の杞紗に繋がる話をする。
透の話は杞紗本人の苦しみを代弁するものでも有り、同時に杞紗の母親と杞紗を繋ぐものでも有る。透を通して杞紗の好物であるニラ玉があみだくじで選ばれる展開はとても良いね

透の話は杞紗だけでなく由希にも繋がる
多分、由希は透の話を通して辛いけどその辛さを言えなかった時期の自分が何を感じていたかを再認識したんじゃなかろうか?透の肩を借りて目を瞑る由希の姿はまるで母親のぬくもりを得ようとする子供のようにも見えた

今回の話を通して、温かく迎え入れてくれる透の存在、態度を改めた母親、自分と同じような経験をしたと話してくれた由希などの支えを見つけられた杞紗。
杞紗は誰の為でもなく、弱い自分を乗り越える為に学校へ再び行く決意を固める。それはとても大変な覚悟だけど、同時に辛さに負けなかった自分を手に入れられる
同様に由希も気が乗らなかった生徒会の話を受ける。

弱さゆえの向上心を手に入れた二人がこれからどのような心を手に入れていくのか気になる所



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