終盤で透が、抱える問題に押し潰されそうになった心境を「放流されたのかと」と例えるけれど、今回登場した面々は皆して激流の中に放り出されているかのように頼りない
家族との確執、透への想い、慊人の存在。向き合うべき問題が多い由希は所在なさげ
迷える心境に苦しむ由希にとって迷いがないように見える潑春や楽羅は羨ましく見えてしまう
でも、その二人だって激流の中にいるのは同じ。それぞれの問題と必死に戦っている
特に潑春は依鈴の本心が見えない為に苦しんでいる
自分を振った依鈴の言葉は本音ではなかったかもしれないと想像できても本人に直接聞く勇気は持てない
だから、依鈴を試すような発言をしてしまって、直後の口付けに拠ってようやく依鈴の本心を知ることが出来る。
でも、その言動のせいで再び依鈴は逃げてしまい……
飄々としているようでいて傷つきやすい潑春。おまけに由希は潑春によって助けられていた。だから激流の中にいる潑春を由希は助けようとするけれど……
潑春からしたらもう充分に由希の優しさに助けられているだよね。だから他人より自分を優先しろという。由希にとって大切な場所となり得る生徒会と向き合えという
祖父との会話の中で失った家族と封じた想いが溢れ出しそうに成っていた透に手を差し伸べた夾
夾だって慊人や楽羅の一件からずっと激流の中にいる。けれど、あの瞬間の透からしたら手を差し伸べてくれた夾は自分を激流から掬い上げてくれた存在なんだよね
夾の存在が透にとって掛け替えのない支えになりつつ有るのが察せられる描写
激流の中にいる彼らは自分が持っていないものを持っている他人を羨んでしまう。でも、相手だって激流の中に居て、互いの行いで助け合っていたりするのだろうね
全てを高みから見下ろし、おちょくっているかのように見える紫呉
でも、彼も彼なりに年若い潑春達の背中を押しているようにも見えたのでした