歴史の終わり、物語の終わり。
破滅に向け突き進む平家。本人達も意識し始めた終焉を前に己の終わり方をどうするかという点が強く意識して描かれていたように思えてしまう
平家の終わりに際し地獄に落ちると嘆く維盛、市中引き回しされても泰然とした重衡
彼等がそう考えるのは因があって果があると捉えているから。己の行為が始まりに有りこのような状況になったと理解している
最も悲惨な二人がそうであるなら、平家が追い落とされたのも同様に因が有るからと言える
生きている限り因果から逃れられない。それは必ずしも運命が手を下すとは限らないから時には頼朝が下さないといけないし、頼朝もそういった覚悟をしなければならないのもまた因果
だからこの世の因果から逃れる為に維盛は出家に加えて自死を選んだのだろうね…。これは重盛が栄華の終わりを見るなら死をと願ったのを思い起こさせる
逆に資盛は迫る終わりに抗うのか。落ち込む維盛に行動を促し、徳子を通じ助命を願おうとする。でも終わる者に手を差し伸べる者なんていない。資盛は行き詰まっている
それに対して徳子は行き詰まりながらも、母として既に覚悟を固めているね。先にある終わりを予感しつつも何を守るべきかを強く決めている
清経の死、敦盛の死、維盛の死……
語る為に平家に付き添うびわ。彼女が見ているのは確かに終わりと呼ばれるもの。けれど、びわがそれらを見て語り継ぐなら真の意味で終わらない。
開戦に際し知盛は「命を惜しむな!名を惜しめ!」と檄した。果たして名を残す事が彼らにどのような終幕を描かせるのか。それを是非とも見届けたいね