相手の心の中身を探る難しさ。読書感想文はあっさり書ける一果も、最終日に残す和も容易なものではない
一果は言葉だけでは美弦や佳乃子の思惑は簡単に探れなかった。一果が察せられたのは相手に見せたい表面だね
和の元カノと想い寄せる少女、内面の一部を知る一果は表向きスムーズに進む遣り取りにややこしさを感じている
それは表層の言葉と中身の想いが一致していないのではないかとの邪推が有るからだね
表層の言葉と全く別の中身が鍔迫り合いをしていると思うから、一果は心穏やかにならない
懸念を他所に良好な関係になった美弦と佳乃子、そこに一果は大人びた姿を見るけど、それは結局二人が社会や好む相手に自分をどう見せたいかという表の姿
最後の言葉から表だけでは判らなかった中身を知った一果に二人が鬼の如く見えてしまうのは面白い(笑)
突如帰宅した祖母は自分本意だけど厳しい人物に見える。けど、父は祖母の舌を前に緊張してるし、母も祖母の貢献を評価している。
表層から中身が全く見えてこないから和には祖母がどういう人物か判らない
それが変わるのは少しずつのスピードで、味わうようにゆっくりと
母の言葉、夢枕の祖父、護摩木に籠められた記憶と願い
何よりも和に祖母の中身が見えるようになったのは護摩木の言葉を見て
そこには祖母だけでなく祖父の願いも籠められている
それは和が叶えねばならない願いであり、そして和に人生の方向性という中身を詰めるものになりそうな
葛饅頭を食べて表に出たのは「ええ塩梅や」という短い台詞だけ。けれど、そこには緑松を育て上げた祖母と祖父が長い年月をかけて築いた味がしっかりと詰まっているのだと伝わってくるね