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とても良い

血筋に基づく正当性にこだわるセト、想いに立脚する正当性を掲げるレオ
だからレオは玉座に座れなくても王者として国を先導出来るのに対し、セトは自らが王の血を引いていない程度で絶望する
でもセトが手に入らなかったのは全くの別物。彼は血筋にこだわる余り己の喪失にずっと気付かずに居たのだろうな…

自分の出自を理解したのにそれを認めず暴走した彼は遂に命すら失う
彼はレオに負けたのではなく自分自身に負けた。王たる己にしか存在理由を見出さなかったから王でない彼は己すら失った
対するサリフィの叫びは様々な種族を混じり生きる魔族の国で人間ながらに暮らした事で懐いた理想を踏まえたものなんだろうな。そしてそれを体現するのがレオとなるわけだ

正当性に縛られていたのはアヌビスも
信奉する王に仕える気持ちがレオを裏切らずに済ませたけど、その為にレオの本当に姿に気付けなかったし、彼が友を求めていた点にも目を向けられなかった
でもサリフィによって血筋より想いを掲げられるようになったレオはアヌビスに友としての貢献を伝えられる。それが失われたと思われていた友という繋がりを復活させたのだろうね

レオの出自は人と魔族の血を引くという特別性より、愛によって生まれた愛された息子であるという特別性を伝えている
日記に拠ってレオは本当の己を手にしたけど、それは人に拠って与えられた本物。ここで彼がサリフィと自分が望む本物の自分を偽りのない己とし、民衆の前に出る展開は良かったなぁ
レオが目指す在るが儘に生きられる世の中を端的に表しているように思えたよ

サリフィによって己を手にした一方でサリフィもレオによって己を手にしていたという流れは良いね
望む己を大変な苦労の果てに手にした二人の子供だからリチャードはレオとは全く異なる子供時代を過ごせるのだろうね
彼の在り様はサリフィとレオに拠って代わり始めた新たな国を体現する存在であり、同時に二人が形作った幸福を一身に浴びる幸福な子供であると判るね

いわゆる『美女と野獣』タイプの系譜なんだけど、終わってみれば現代の問題に通じそうな要素をファンタジー作品として綺麗に纏め上げた作品だったように思えるね
原作漫画の時点で充分に楽しめていた作品だけど、アニメとしても不足なく楽しめる、とても良い作品でしたよ



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