歴史上の偉人と言われるとちょい疑問符がついてしまう人物である北条時行、そんな彼を主役にしてこれだけの物語を展開するなんてね
鎌倉時代の武士なんて倫理観も何も有ったものじゃなく死と戦いばかり。そんな在り方に反旗を翻し遁走する時行はそれこそ反逆の英雄と言った処か
この初回で誰が最も武士らしかったかと言えばやはり尊氏になる。武士団を率いて破壊の限りを尽くし天下に名を轟かせた
家臣の操り人形な高時や稽古から逃げ隠れる時行は武士らしくない。そんな者が武士の頂点に立つなら天下が崩されるのは必然の話
その必然に別の未来を見たのが頼重や邦時か
怪しい頼重の言葉を信じる根拠なんて平時は見つからない。それこそ武士の力が試される時でなければ
大量の武士に囲まれた際に時行が発揮した逃げ上手は凡人のそれとは違いすぎる。一つの刃も矢も許さず生き延びた彼は時代が望む存在と判る
史実を知っていれば彼がこの後どのような歴史を紡いでいくかは判ってしまうもの
けれど、その判りきった事実からも逃げ隠れてしまうのではないかと思わせる逸材には、彼がどのようにして英雄へ転じるのかと期待させる
早くも傑作の予感をさせる作品ですよ