友人帳始まりの物語と言える今回は幾つもの擦れ違いや臆病が含まれたものだったね…
人に混じれないレイコは一人の心地よさに浸っていたならば蒼子と居る心地よさは未知のもの。単純に友達になりたいとかそういう理由で彼女は蒼子と居られない
そこで必要とされたのが勝負か。レイコが勝負なんて遊びを通して求めた繋がりが彼女の想像しない形で妖を縛ったのに、彼女自身には何も返ってこなかったなんて皮肉な話…
蒼子は友達になりたいから思い切る為に勝負をする。レイコは友達になりたいか判らないから勝負に託す
幾度も言葉を交わしたのに伝わらない心模様は心が見えるソラノメが居ても伝わらない。何故なら彼は蒼子には見えないし、レイコの心は読めないから
三者三様に想いを伝えられない、伝えたくても伝わらない
でも想いが伝わらなくてもどかしくなるなんて、きっと誰もが通る経験
蒼子が石を当てた際だって、レイコがほんの少し勇気を出せば2人は友達になれたのかもしれない
そうならなかったのはレイコだけが妖が見える絶対的な違い。他の人に妖の事を伝えようとしても伝わらないし理解されない
彼女が妖から蒼子を守ったとしても伝わらず、レイコが蒼子を拒絶したようにしか見えない
それでもレイコが再度あの場所を訪れたのは微かにでも蒼子への期待が捨てきれなかったからかな…
でも、捨てきれない想いを持ち続けるのは苦しいから捨てなければならない。ソラノメを誘ったのはきっと期待を捨てる為の工程でもあって
人ではなく妖と原っぱを見た行為は彼女に人生の期待できなさを見たのかもしれない。そうして、まるで蒼子との遣り取りをなぞるかのように妖と勝負をし始めるレイコの人生には物哀しいものがあるね……
もう伝わらなくていいレイコが諦めた後でまだ伝えたいと粘った蒼子や2人の間をどうにか取り持ちたいと悩んだソラノメを思うと心苦しくなるが、 それが時を超えて少しだけでもレイコを知る夏目に届いたのだと思うとほんの少しだけ救われた気持ちになってしまう…
レイコが見せたいと思った原っぱは夏目も見れて、それはやっぱり大切な人に見せたいと思うものだったのだろうから