本作序盤は正体の見えぬ汐莉に翻弄される比名子という認識が強かったのに、それぞれの願いが明らかとなった今となっては汐莉の願いはどうしたら比名子に届くのか、比名子が願いを叶える事は悪と言えるのかと、双方の擦れ違い又は相手と己が全く異なる存在でも寄り添い続けようとする一つの愛が見えてくるかのようですよ
やがて大切な人の死に至る約束。汐莉が交わす事になった約束はとても苦しく、そして優しいものに思えるよ……
温泉地で美胡・汐莉と過ごす比名子は本当に楽しそう。…楽しくする事で死を目指しているなんて思いたくない程に
だから比名子から約束の話を持ち出したのは、彼女自身に楽しいの先にある死に疑問を覚えてしまった為ではないかと考えてしまう
二人の関係はいつか悲劇で終わる。それでも汐莉は明日は比名子が生きていられる未来を選んだ。それを強いた酷さを自覚しつつ比名子は変わらず終わりを望んでいる
2人の想いは交わらないのに、道が交わる事で未来が繋がってしまう
結局、最終回に至っても2人の願いはスッキリした形になる事もなく、幸福に至る事もなかった
けれど、互いに明日を約束し、今は傍に居ると確かに選んだ。そこにあるのは汐莉の妥協であり、比名子の願望であり
果たして汐莉はひとでなしだったのか、それとも比名子の方がひとでなしなのか。それは曖昧なままだけれど、いつか来る終わりを目指して幸せな日々を楽しむ2人の姿に何とも言えない感情を抱かされた最終回だったのでした…