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全体
良い
映像
とても良い
キャラクター
良い
ストーリー
良い
音楽
良い

結構昔に一度見た覚えがあるのだけど、ストーリーの大半を忘れていた為に再鑑賞
見て真っ先に感じた事は「本作はこれまでに様々な『時をかける少女』作品が存在した為に成立した作品なのだろう」という点だったかな。それは決して悪い意味ではなく
そもそも本作で描かれる世界観が原作の20年後というのだから、その意味でも他作品の存在を前提にしていると言える。だからか本作が描くのはタイムリープ能力の可能性を試すものではないんだよね。あくまでも普通の高校生が能力を得てしまったら?その能力がある為に青春模様に影響が生じてしまったら?という非常にミニマムな世界の中でお話が構成されていると感じられる

そう思えたのも作中で芳山和子が真琴のタイムリープ能力の使い方を聞いて、悪事に使わなくてよかった、みたいに受け取るシーンがあるからかな。私は他の『時をかける少女』作品を知らないので何とも言えないけど、考えてみればタイムリープ能力があれば様々な悪事に使えるだろう事は容易に想像がつく。けど、真琴はそういった悪事は考えないんだよね。彼女の使い方はあくまでも美味しい物を食べたいとかカラオケでいつまでも歌いたいとか野球を巧くやって驚かせたいとか、そういう身近な自己満足に収められている
作中でも言及があるけど、ちょっと真琴っておバカさんなんだよね。難しい事に能力を使えないし、先読みに秀でている訳でもないからタイムリープによってどのような影響が生じるかもあまり想像できていない。その意味ではタイムリープ能力を有しても危険性のない人物

かといって、真琴がタイムリープをしても何の影響もないという意味に成らないのは和子が言及する通り
真琴が高瀬を身代わりにし自分の身に起きる災難を回避する事で高瀬が虐められたり彼が暴力行為に走ったりする。真琴が千昭の告白を無かった事にした為に彼は友梨と交際を始める。何よりも大きい影響としては真琴が何度もタイムリープを繰り返す事で功介が壊れた自転車に乗ってしまい、事故を回避する為に千昭がなけなしのタイムリープ能力を使う羽目に陥る点か
全てにおいて真琴が悪かった等と言うつもりはないけれど、真琴が動かした運命が回り回って別の人物へと作用する典型例と言える。和子は真琴が千昭の告白を回避するタイムリープの使い方を「無かった事にしたいんだ」等と言っていたが、天ぷらの油が必ず跳ねるように、千昭の想いは消えないし壊れた自転車も消えはしない。時間を巻き戻してもそれらは何処かのタイミングで必ず発生する
何故なら真琴のタイムリープは事象の発生タイミングをずらしているだけであって、事象そのものを消している訳では無いから

この時になって初めて真琴は自分のため以外の理由でタイムリープを使おうとするわけだ。それまでは詰まらない目的でタイムリープを使用していた彼女が、千昭を未来に返すなんて彼女にとって得の無い目的の為に
これこそが青春模様だと感じられたよ。自分が良ければそれで良い、悪いものは誤魔化して目を逸らして、な勢いで過ごしていた真琴が好きな人の為に、おまけにタイムリープを使えば千昭は未来に帰ってしまうと判っていて。これこそ愛ですよ……

本作ってモチーフの使い方が上手いなと思ってしまったり
判り易い点だと運命の分岐点とも言える踏切のシーンかな。からくり時計、ぶつかった事に文句を言うおばさん、空を進む飛行機。特におばさんなんて巧く使われている。彼女が登場すれば時間は繰り返されていると否が応でも感じられるし、また真琴の不注意でぶつかった事への文句で鑑賞者まで申し訳なさというストレスを抱える、それが踏切への緊迫感を増して感じられる
またタイムリープを扱った作品なだけに時計を効果的に使用しているし、タイムリープによって時間の進む先が変わる様子を道路標識や信号機等で判り易く示してくれているね
あと、タイムリープの効果を深く考えさせるシーンでは学校空間の日常風景と共にゴルトベルク変奏曲によって彩っているのも良いね。真琴がタイムリープを繰り返す事であのような何の変哲もない風景も少しずつ変わってしまったのではないかと考えさせてくる

本作は真琴が体験するタイムリープという現象を大袈裟なものとすること無く、それでも彷徨える青春において真琴の人生を変えてくれるものとして作用しているのがそれこそ青春だなぁなんて感じさせてくれる、そんな作品だと思えましたよ



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