良く言えばジョットコースター遊園地映画、悪く言えば様々な要素をごった煮に詰め込み過ぎた作品
けれど世界的に知られたIPであるスーパーマリオの映画第二弾を製作するにあたってはこういう形にした方がより大勢が楽しめるのだろうなという納得も得られる映画と思えたかな
私自身のマリオ体験は昔のマリオゲームに幾つか触れた程度で『ギャラクシー』は未体験。映画を見ていても元ネタを知らない要素は確かに存在した。けど、同時に元ネタを知っている要素もあった。こういった懐かしいネタに邂逅できる体験は喜びを覚えられるものでしたよ
本映画はそうした体験を思う存分に提供してくれる作品と思えたかな
そうした遊園地的な楽しさの提供という意味では高い評価を上げたくなるのだけど、他方で他の遊園地的では無い要素についてどのような評価を与えようかは迷ってしまう部分があったり
本作のキーキャラクターとなるのは言うまでもなくロゼッタ。星の命運を握る囚われのお姫様。またその来歴は驚きの人物
…と、ポジションとしては重要なのだけど、マリオやピーチ姫達の中にロゼッタの人柄を知る者が中盤まで全く存在しないというのは宜しく無い構成としか思えなかったり
救援を求める声1つでキノピオ達の反対を押し切り助けに向かう事でピーチの正義感が強調され、彼女の魅力が改めて描かれるけれど、この段階ではピーチがロゼッタを助ける理由が弱いことにより前作におけるマリオがルイージを助けるために奔走する構図が中盤まで見られないのは少しマイナスに思えたり。ロゼッタの絵本を読む事によってようやくピーチは彼女との関係性を知ることに成るわけだけど、マリオとルイージに至ってはエピローグ部に入ってからロゼッタと出会うくらいだし
そのくらい皆して助けに向かうことに成るロゼッタと既存キャラの関係が希薄な点は物語を盛り上げる上で問題だったような……
また本作のストーリー面の難しさは他にもあるね
序盤においてマリオはルイージやヨッシーから「ピーチにアタックしないのか」と何度も茶化されながら問われている。またマリオとピーチが再会した際には関係性の進展を課題とするシーンも見られたほど
けど、作中だと手を握るのがやっとって何…?ってなってしまう
こうした前振り要素の回収が不満足気味な結果に終わるというのは前作にも見られた傾向だなと感じていたり。
他にも、前作ラストでヨッシーの卵が引き要素として用いられ、この続編でヨッシーは活躍している、劇中でのヨッシーの立ち位置ってストーリー面には一切関係ないのは果たしてどういうつもりなのかと疑問に思ったり
そもそもマリオの仲間になるのもサブイベント的な展開の中であり、ヨッシーアイランド要素の際に中心となるだけで特にロゼッタ救出において何らかの役割や因縁を持つわけでもない。マリオ作品のファンとしてはヨッシーが仲間になる展開はテンションが上がったのは確かなのだけど、登場させたならストーリーにおいても何かしらの役割を持たせて欲しかった所
ただし、よくよく考えてみればストーリーより展開を楽しむべきと言わんばかりの主張は本作の随所に見られるもの。マリオ作品との関係が希薄なフォックスがロゼッタ救出に協力してくれるお祭り映画特有の流れ、マリオメーカーやドット表現だったり。そうした諸々は楽しさを求めるものであり、整合性を求めるものではないと訴えてくるかのよう
そうした楽しめるシーンが間断なく展開されていたのは間違いのない事実なんだよね
前後の繋がりがちょっと突然だろうと、マリオとルイージが各ステージをゲームさながらにクリアしていく様子も、ベイビーマリオ達をヨッシーが守る様子も、フォックスが駆るアーウィンが格好良く宇宙を翔ぶ様子も
何もかもが楽しさに満ちている
他方で楽しさを意識したならば、もう少し上手い処理は出来なかったものか…とやはり思ってしまう要素もあるんだけどさ
マリオのゲームをプレイしていると時折発生するのはクッパが仲間になる展開だね。マリオとクッパはピーチを巡って不倶戴天の敵という印象があるけれど、全く別の敵が登場した際にマリオとクッパは協力体制を組む事がある
本映画でも改心したクッパがマリオの旅を先に進める為に己を犠牲にするテンションが上がるシーンが描かれるのだけど…
そこら辺の流れを整理し切らないままにクッパを再び敵側に戻すのって違くない?って思ってしまう
そりゃ、離れ離れになっていた息子と仲を深めた元敵のどちらを取るかって言ったら息子になるのは当然なのだけど、それにしたってクッパの内面の揺れだったり、マリオの敵に戻った前後についてもう少し遣り方があったんじゃないかと思ってしまう
クッパとマリオが協力するという楽しさが描かれただけに、この演出は残念に思ったり
改めて言及するけど、本作の楽しさが素晴らしい出来になっていたのは間違いない
舞台として宇宙要素や他の惑星が登場した事で表現が三次元的になり、画面やキャラクターが前作以上に目まぐるしく動く流れには多様なワクワクが得られた。先述のアーウィンは云うに及ばず、ピーチがカジノに訪れた際の天井・床・壁面が入れ替わりながらアクションするシーンは見ていて素晴らしいものだったし
また、スーパーマリオシリーズという長く続くコンテンツの映画作品として、様々な年代に居るファンを最高潮に楽しませる映画と捉えるならこれ以上無い程の評価が与えられるのは間違いない
なんてったって、あまりマリオ作品をプレイしていない私だって「あっ!このシーンってもしかして…」となるシーンが幾つもあったからね
そうした点を考慮すると、ストーリー面に不満があるのは確かなのだけど、他方で遊園地的な楽しみを得られたという意味では大成功を収めた作品と言えるのかもしれないね