自分の趣味範囲では無いだろうという予感があった為にそこまで高い期待感を持った上で鑑賞したわけではなかったけど、鑑賞者が楽しめる作品という意味では中々の実力を備えた作品だったんじゃなかろうかと思えたよ
というか、見ていて強く感じたが本作は“戦うアイドルアニメ”+“韓流ドラマ”のノリが合わさったような作品だね
敵が人間の魂を喰らうデーモンという概念的な悪であり、味方陣営が正義としてデーモンと戦う事を宿命付けられた存在。構図そのものはオーソドックスであるだけに、デーモンの模様を持ちつつもハンターとして戦うルミという存在が際立つようになっている
まあ、そういった善の中の悪という構図も珍しいものではないんだけど、だからこそ歌の力強さがノイズに乱されず無く伝わってくる作りにもなっていたのかな
ハンターが目指すのはデーモンの根絶、ホンムーンの完成。これらの概念的な背景を考察していくと、色々と面白いものが見えてくるね
ルミの模様は恥や恐れと繋がり他者に見せたくないものと成り、ルミに模様を隠すよう促すセリーヌは度々涙や悲しみを表に出さないよう注意している。そうした感情はいわばデーモンに相通じる要素であり、デーモンがホンムーンという結界によって抑圧される表現を思えば、ホンムーンとは社会的秩序や社会的な体裁を象徴するものであり、デーモンの模様等に繋がる要素とは人が社会に迎合する際に隠し通すべき“恥”そのものであると感じられてくるね
だからルミが隠そうとする模様は彼女が周囲に壁を作る原因でありつつ、同時に彼女が恥と思う秘密そのもの
でも、言い換えてみれば恥だとかあまり他者にひけらかしたくない部分なんて誰でも持つもので。ミラやゾーイが感じる短所もそうした恥だね。終盤にはそうした恥をグウィマに突かれてしまったわけだし
グウィマは作中でも言及があるけれど、人間が持つ恥の感情を利用するのが巧い存在。ジヌが消そうとした記憶もそうした恥にまつわるもの。デーモンとして働いていた彼があの過去を極端なまでに恥と感じていたのは明確、だから心を明かしたルミにですら過去の本当の姿は明かせなかった
グウィマは人間の恥を利用し、恥を消す誘惑で他者を操ろうとする
こうした在り方って実はセリーヌにも通じるように見えるのは面白い。ルミの模様は確かに他者、特にハンターには明かせない恥ではある。でも、信頼し心を通じ合わせた相手にでも隠すべきかという点には疑問が生じる
ルミはセリーヌに「模様(恥)を明かすな」とか「デーモンが消えれば模様(恥)は消える」なんてルミを誘導する。セリーヌにルミを操ろうとする意図は無かったかも知れないけれど、彼女の言葉に拠ってルミはミラ達に恥を持つ自分を明かす事ができず壁が生まれ、ハンターの使命へと殊更にひた走る事になったのだから
ルミがジヌに惹かれたのは彼がイケメンだからという点は有るだろうけど、恥を利用して彼を押し潰そうとするグウィマへの反抗を促す事で自分もセリーヌへ反抗する力を得ようとしていたからではないかと思えてしまう
でも、そうした遣り方は結局恥から逃げている事と同義。グウィマに恥を利用される展開に追い詰められてしまうし、隠していた恥を知られた事への恐怖でルミは余計に絶望を抱くしかなかったのだろうね
だから彼女が行ったのは新たなホンムーン、つまりは恥を恥と思わなくても生きられる社会秩序の構築と言えるのかな…。個人的には此処ら辺のルミを含めハントリックスの心情変化が良く判らなかったりしたのだけど、兎も角ルミのやろうとした事はバラバラになりかけ、そして恥を消してくれるグウィマに呑まれかけていたミラやゾーイを呼び戻すものと成り、またジヌに恥から逃げない勇気を授けるものとなるね
カムバックしたハントリックスとはつまり彼女らが恥を恥と思わず彼女ららしく生きていける世の中へと平和に回帰した状況を象徴する言葉と言えるのかも知れない
まあ、こうして小難しく並び立てて考えるよりも感覚的に受け取って楽しむのが最も良い作品であるのは間違いないのだろうけど
その傾向は冒頭から顕著に現れているし。テンポの早い台詞回し、飛行機の中で寛いでいたと思ったら彼女らの紹介を兼ねた歌唱&戦闘、その後も鑑賞者を飽きさせない話の展開がされていたね
また、力強い楽曲が物語を彩る事で作品そのものの良さも上昇していたように思う
他方で、先述したように物語構造自体はオーソドックスな為に個人的には興奮を得難かったのはある。ただ、本作がどうして英米圏において人気が出たのか、そもそもこのような作品を作り出すK-POPの文化性も見えた気がして貴重な体験と成った鑑賞となりましたよ