本作は制作が自由だね。まさかの講談師スタートとは
続編1話の振り返りなんて普通は作中人物にナレーションさせるものだけど、講談として語る事で本物語が歴史に基づいていると感じさせるね
…のに続く本編が時行に鯛を食べさせたいからと奔走する逃若党の斜め上な活躍が描かれるなんて、本編も自由すぎるよ(笑)
まあ、そんな破茶滅茶な行動も実態は鎌倉奪還ルートの偵察だったというのだから抜け目が無いのか、何なのやら…
ただ、そうした望外を実現したとして、時行が最も寂しがっていた要素には誰も手が届かなかったのは印象的
時行は鎌倉で食べた鯛を懐かしむ。狐次郎達は必死の努力で鯛を届けたけど、時行が真に懐かしんでいたのは邦時と鯛を分け合って食べた日々。けど、今は鯛を独りで食べ、その前日には逃若党の面々は時行に何も告げず出掛けていた
時行は狐次郎達の献身を有難いと言うけれど、変わる日々に涙を流す彼に本当の意味では寄り添えていないような
そんな時行を更に傷付ける如く描かれるは変貌する鎌倉の様子か。支配者が変われば、土地も変わってしまうもの。それを本作はコミカルに、けれど残酷に描いていたね
鎌倉の新たな支配者として名乗り出た足利と廂番衆は反逆者を冷徹に殺し、カリスマと計算に拠って鎌倉支配を行き届かせているね
他方の京では新たな改革が行われつつ、武士にとってその改革は不都合な為に新たな改革の呼び水となっているという…。支配者の遷移はそのまま時代の変遷へと繋がり、もう後戻り出来ない変貌をこの世に顕す切っ掛けとなるのか
但し、時代の移り変わりにおいて恐ろしいのは前時代の遺児が民の不満を吸収する形で立ち上がること
逃げ上手の時行が革命の時代から逃れられるのか、それともまた別の革命を巻き起こすのか?歴史は既に結末を描き終わっているけれど、それでも時行が逃げた先に何が在るのかを期待させられる本作は本当に素晴らしい作りですよ!