神谷さんを始め、どのキャストもさすがに声の衰えは隠せなかったけど、それでもそれほど違和感なく耳に馴染んで感動。キャラの年齢設定が元々高めなのと、この作品は作中人物が年輪を重ねていても不自然に感じないというのもあるかもしれない。
また、パラレルワールドとはいえ、「エンジェル・ハート」の後だと、リョウと香の関係を見る目も変わってしまう。香への気持ちに対する照れ隠しは以前からあったけど、本作でのさもありなんという受け流し方に時の流れを感じたのは気のせいか。いっそのこと、本家シティーハンターのほうでも年老いたリョウたちを見てみたいような、やはりそこは見たくないような、複雑な思いを抱いた劇場版ではあった。
場のつながりを若干ぶち壊してでも、劇中でTVシリーズの主題歌をバンバン流していたのがファン向けにもなりつつ、TVシリーズ当時の時代感を思わせる演出になっているのも面白かった。決してこの作品のために作られた曲ばかりではないのに、しっくり来る名曲ぞろい。
TVでは規制が入りそうな描写満載の黎明卿の話に、グリグリ動くアクションシーンと劇場版ならではという点では楽しめたけど、TVシリーズほど胸に迫るものはなかった。
黎明卿の非道ぶりはナナチとミーティの件で十分伝わっていたし、アビスに自ら足を踏み入れ、何が起ころうとアビスの底への情熱を失わない探窟家という時点でリコも立派に狂人なんよ。だから変わり果てたプルシュカを前にして取り乱すリコの場面は、リコも人並みの感情を持っているのだということを見せられているようで黎明卿と同じような目線で見てた。なんせ「プルシュカがこぼれちゃう」だし。まあ、あれは作者の好みを出しすぎなだけだとは思うが。
TVシリーズは群像劇の部分が醍醐味だったけど、劇場版はどうしてもひとりひとりが薄くなりがちで、それが盛り上がりに欠けたかな。みゃーもりたちのその後もひと通り描いてくれてるようで肩透かし感があったし。
バラバラになっていたスタッフたちが集結するという物語によっては熱い展開も、遠藤さん以外はあっさりで残念。この作品的にはそこを厚く描いてほしかったという思いはある。おれたた言うなら、全員が集まって、さあ、劇場版を作るぞってところで終わるくらいのね。
自分としては、劇場版はみゃーもりたちどんどんドーナツ組が高校時代の夢の実現に動き出すお話を期待していたので、劇場版二作目があるなら今度はそちらを是非。
思ってたよりきれいに畳んでくれた印象。もっと投げっぱになるのかと期待してた。初見時はさっぱり付いていけなかったQに対して、その先例込みで対ショックの準備ができていたのもあるだろうけど、今作は端的にでも説明を入れてくれてたし、慎重に丁寧にある意味約束された結末に導いてくれていたように思う。あの庵野監督がここまで引っ張りながらこんな軟着陸を模索していたのかと思うと微笑ましくもある。今作ではみんなシンジに優しかった。アスカはあれが優しさだしね。その皆の優しさにシンジが応えてくれたと捉えたい。