唯一ミステリ的展開のほとんどない最終話。20話、21話と、徐々にミステリの要素が薄くなって、直接的な心の描写に向かっていった気もする。しかも、22話は、これまでミステリを駆動する舞台装置の役割を担ってきた千反田えるの人生の話。これが何を意味するのか。折木の話とみれば、この最終話は、21話と同型の「執着/自由」の主題の反復であり、里志と摩耶花の恋路のその後が描かれなかったことともあわせて、作品全体をきれいにまとめている。折木の言い方を借りれば、「省エネかそうでないか」をめぐる心の揺れ動きが彼の葛藤の中心であった。ラストシーンでは、それが「千反田と添い遂げるかそうしないか」という二者択一にまで一気に飛躍し、しかし会話は愛すべき省エネを象徴するような天気と季節の話に落ち着く。本当に美しい。