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全体
良い

雨の描写が本当に“微に入り細を穿つ”とはこの事かと。洗われた空気と森の芳りを感じるほど。

ほんの少し、レールを外れたり、外れざるを得なかった二人が、都市の喧騒から離れた東屋のシェルターで羽を休める…と言うと幻想的でカッコいい。
だけど“普通に生活送っている人”から見ればキモい逢瀬でしか無い。
“普通の人”である高雄の兄の、高雄の母親の逃避に対する視線がとても辛辣で、でもそれは世間一般の人が高雄と雪野の逢瀬に向ける視線、と言うのはとても良く出来た二重写しだなと感じる。
それでも、だからこそ、あのささやかな憩いが美しく鮮やかなんだろう。
甘いけれど溺れすぎず、儚い夢のよう。

結局、二人はキチンとレールに戻り、電車に乗ってその先へと歩いていく。
高雄の母親も家に戻る。

一瞬の逸脱の夢想として、それに似合う美術と技量でまとまって面白かった。



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