マシュウの死に顔が穏やかでホッとした。
ポックリは亡くなる本人にとっては苦痛が一瞬で理想的かもしれないけど、遺された家族は心の準備が全くできていない分喪失感が大きくキツい。
慣れてる人達がテキパキ動いて、あっという間に葬儀の準備が進められていく感じがよく表れている。
あのお喋りのアンの台詞も心の声もほとんど無いから、緊張がこっちにも伝わってきて胸が痛くなる。
アンには気持ちが通じ合えるマリラがいて良かった。家族でも分かり合えない場合があるから。
全財産を預けてる銀行が破綻して、生活はどうなるんだろう。マーチンはもう雇えないと思うし、マリラ一人で野良仕事なんて無理だし心配だわ。
「アンは一人になれたら泣けるに違いないと思った。あんなにも愛し、あれほど自分に尽くしてくれたマシューのためにも、一滴の涙も流すことができないとは、全く途方も無いことだった。前の日の夕方、アンと一緒に歩いたマシューは今や頑として侵し難い安らぎの色を額に浮かべながら、下の仄暗い部屋に横たわっているのだ。しかし涙は出でこなかった。涙の代わりにあの前と同じなんともいいようのない鈍い痛みのような切なさがこみ上げてきてアンを苛み続けた。」
☆☆
銀行破産でマシュウがショック死というコンボは酷い
アンの泣き叫ぶ声を階下で聞いて、正気に戻ったマリラがなんとも
児童向けを除いても、死をここまで生々しく描写するとは、さすがに鬼才
そういや、マシュウ、マリラの動作が、わずかに遅くなっていたと感じた静かな老化描写