ペリリュー ー楽園のゲルニカー

ペリリュー ー楽園のゲルニカー

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武田一義・白泉社/2025「ペリリュー -楽園のゲルニカ-」製作委員会
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動画

あらすじ

仲間の最期を「勇姿」として手紙に書き記す功績係──
彼が本当に見たものとは?

太平洋戦争末期の昭和19年、南国の美しい島・ペリリュー島。そこに、21歳の日本兵士・田丸はいた。漫画家志望の田丸は、その才を買われ、特別な任務を命じられる。それは亡くなった仲間の最期の勇姿を遺族に向けて書き記す「功績係」という仕事だった。9月15日、米軍におけるペリリュー島攻撃が始まる。襲いかかるのは4万人以上の米軍の精鋭たち。対する日本軍は1万人。繰り返される砲爆撃に鳴りやまない銃声、脳裏にこびりついて離れない兵士たちの悲痛な叫び。隣にいた仲間が一瞬で亡くなり、いつ死ぬかわからない極限状態の中で耐えがたい飢えや渇き、伝染病にも襲われる。日本軍は次第に追い詰められ、玉砕すらも禁じられ、苦し紛れの時間稼ぎで満身創痍のまま持久戦を強いられてゆく──。
田丸は仲間の死を、時に嘘を交えて美談に仕立てる。正しいこと、それが何かわからないまま…そんな彼の支えとなったのは、同期ながら頼れる上等兵吉敷だった。2人は共に励ましあい、苦悩を分かち合いながら、特別な絆を育んでいく。一人一人それぞれに生活があり、家族がいた。誰一人、死にたくなどなかった。ただ、愛する者たちの元へ帰りたかった。最後まで生き残った日本兵はわずか34人。過酷で残酷な世界でなんとか懸命に生きようとした田丸と吉敷。若き兵士2人が狂気の戦場で見たものとは──。

引用元: https://peleliu-movie.jp/

感想

全体
とても良い
映像
良い
キャラクター
とても良い
ストーリー
とても良い
音楽
とても良い

太平洋戦争の戦場を描いた実話を元にしたフィクションとして、すばらしい作品だった。まんが版の参考図書やあとがきを見ると、短いシーンも多くの現地取材、他の島であった出来事の調査や聞き取りから成り立っていることが分かる。映画版は原作からエッセンスを抽出して制作されているが、必要十分なストーリーとなっている。まんが版にあった現地に残された孤児の姉弟との潜伏は無かったこととして描かれるが、画面上で無事避難していることが分かり、ちょっと嬉しくなってしまった。
一方、情報に翻弄される人々の姿は現代にも通じるものだった。本土に手紙として届く兵員の死亡時の状況を書いた戦士状況概要は、実際にはなかった状況が創作されたものであったり。米軍基地からの糧食鹵獲の最中にゴミ捨て場から拾った新聞や雑誌で終戦を知っても、ウソだと信じて潜伏を続けたり。信じたいものを信じてしまう状況は現代でも変わらない。
シンエイ動画制作でデフォルメされたキャラはお手の物。しかし描かれる戦場と敗走、潜伏の内容はひたすらに重い。3頭身のキャラででなければ吐いてしまう程だ。原作には潜伏後の更に厳しい惨状が詳しく描かれている。『この世界の片隅に』で描かれたようなデフォルメされたキャラクターを使って描く手法は、リアルな戦争を描く手法として十分市民権を得た。エンドロールで流れる主題歌 奇跡のようなこと/上白石萌音が涙を誘った。自宅に帰れた田丸のなんと幸運だったことか。
吉敷はまんが版と映画で違った運命をたどる。映画版は原作 武田一義も脚本として入っており、原作無視の改変ではない。『この世界の片隅に』も原作と違うストーリーとなった部分があるが、これは監督の優しさだった。本作においてもそういう願いがあったのかもしれない。日本人は「遺骨」を気にする文化なのだ。
一方まんが版は戦後、そして高齢で病院に居る田丸に取材する孫の世代へと話が続く。ペリリュー島は何も関係ない昔の人の話ではない。私たちの祖父、曽祖父と地続きの話なのだ。それをはっきりと実感させられた。

全体
とても良い
映像
良い
キャラクター
とても良い
ストーリー
とても良い
音楽
普通

SDのキャラデザでこれ程までに凄惨な戦場を描くギャップに驚いた
敗残兵~終戦後の潜伏兵に焦点を当てるというのも面白かった

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