原作のキャラクターデザインを務めるredjuice氏のイラストが有象無象のラノベ作画になってしまっていることは不満ではあるが、情報量の多いredjuice氏のイラストをアニメに落とし込むことはまず不可能であることを考えるとこれは不満ではあるが許す気になる。
問題は、全体に作画の質にバラつきがあることと、作画を別にした絵面の地味さだ。
作画は全体的に質が低めで、アップのときはかなり良くなるのだが、それ以外は雑。放送延期を経て作られた「Final Stage」でもそれは変わらず、主要キャラであるはずのメトーデやスノウドロップが、中割りではなく止め絵でグズグズな作画になっているのを見た時には乾いた笑いが漏れた。
ディオメディアという会社のキャパシティの限界を超えていることが、画面を通してありありと感じられた。
作画とは別に絵面も地味で、特に戦闘がつまらない。
レイシアはアラトに状況説明しながらブラックモノリスから凄いビームを撃つばかり。
格闘戦メインの紅霞とメトーデはまだいいが、距離を取ればやることはデバイスを使った射撃ばかりで、エフェクトも地味かつダルダル。
設定を考えれば納得ではあるのだが、全体にレイシアが万能すぎてバトルに緊張感がないのもつらかった。
SFの要であるシナリオは、ところどころグッとくる場面があって、原作の素晴らしさの片鱗が感じられる。
だが、全体的にアニメとしては台詞が多く、さらにどのキャラクターも言い回しが難解なため、聞き逃したり、意味がわからなくなるたびに巻き戻さないといけないのは煩わしかった。
いきなり「わたしは、進化の委託先(アウトソース)としての道具」とか「お前には行動の白紙委任が必要なんだろ!」とか言われても、理解できずに台詞が耳を通り抜けてしまう。
止め絵で「長々とキャラクターが喋っているだけ」になっている場面も多く、絵的に退屈なシーンもいくつかあった。
キャラクターは、マリアージュを除くレイシア級はそれぞれいいキャラではあるのだが、台詞の難解さもあって「最終的にどうしたいのか」がわからないことが何回かあった。そもそも5人が掲げる存在意義(「人間との競争に勝つための道具」「人間の拡張としての道具」など)の意味がいまいちピンとこないため、求める結果と行動のつながりがますます見えにくい。
不満を通り越して「癇に障った」のはユカ。
ユカは劇中において「レイシア陣営のボトルネック」でしかないくせに、空気を読まずにピーピー甲高い声でわめいたりわがままを言ったりアラトを困らせるばかり。劇中において何らかの役割が用意されているわけでもない。そのくせ目立とうとする。
もうね、ぶっちゃけるとこんなに殺意が湧いたキャラクターは久しぶりでした。
けど、一番やばいのは2クールで総集編4回+特番1回という前代未聞の事態ではないだろうか。
4回の総集編とか『SEED DESTINY』でしか見たことなかった。BEATLESSはそれを2クールでやっちゃったから種死よりもヤバいやつだったのでは…?
画面を通してディオメディアの「もう限界だ!」という悲鳴が聞こえてくるようで、面白い、つまらないの前に「いたたまれなかった」作品。
原作の面白さの片鱗は伝わってきたので、原作はチェックしようと思います。