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全体
良くない
映像
普通
キャラクター
普通
ストーリー
良くない
音楽
普通

原作未見。
派手なビジュアルに反してひたすら「無味無臭」、かつ「古臭い」作品、という感想。

登場人物の掘り下げを原作に頼っており、これ単体ではさくらやクラーラ、あざみ、白秋などを除いてキャラが薄っぺらく見えてしまう。
これは原作におけるサブヒロインも例外ではなく、掘り下げれられるエピソードのなかったアナスタシアとクラリスはほとんど戦闘要員になってしまっている。
原作では人気キャラであるらしい誠十郎もちょいちょい顔を出すばかりで、なぜ花組の皆に慕われているのか視聴者にわかりにくい。
また、世界各国の華撃団も最後にチョロっと出てきて加勢するだけで、原作を知っていれば燃えるのかもしれないが、視聴者にとっては「よくわかんない人たちが助けてくれた」ようにしか映らず、感動できない。
特に問題なのがヴィランとなる莫斯科華撃団、というかカミンスキー。彼は本作のメインヴィランながらキャラが非常に薄く、赤羽根健治の怪演は印象に残るもののキャラクターとしては「よくいる神を気取る三流ヴィラン」でしかない。そのカリスマの弱さから全く「強大な敵」という感じがせず、ギャグ回の7話でただでさえないカリスマを完全破壊するようなギャグ描写を挟んだこともあって、帝国華撃団がカミンスキーに勝利しても全くカタルシスがない。

90年代~ゼロ年代を駆け抜けた前シリーズの魂を受け継いだ作品ということでシナリオの内容もゼロ年代の作品らしい、若干クラシカルな内容なのだが、本作はそうした古典的な「要素」をストレートに持ってくるばかりで、現代風に昇華できていない。なので「古き良き」ではなく、どうしても「古臭い」という感想になってしまう。
特にバレバレの変装をして花組を助ける白秋(白マント)を前にして、「白マント、一体何者なんだ」と大真面目に悩んでいる花組の面々は間抜け以外の何物でもない。
また、「クラーラがレイラの死を目の当たりにしてイヤボーン」などの演出も悪い意味で90年代的で、シリアスな笑いになってしまっている。

シナリオ自体も設定面の疑問が多く、メカニックの一人に過ぎない司馬が欠けただけで出撃できない花組、毎回毎回ワンパターンに敵に突っ込んでは噛ませ犬にされる初穂、莫斯科の仕掛けた華撃団対戦に際して無対策の帝撃、暴走したレイラを煽って自爆し花組逆転のきっかけを自ら作ってしまうカミンスキーなどツッコミどころや難点が多い。
目を覆うような大ポカこそないものの、これらのポカミスが積み重なって盛り上がりを自ら殺してしまっている。

特に問題なのが「降魔人間」とカミンスキーの持つ力の設定。
劇中では「降魔と人間の架け橋になるキーパーソン」と言われる降魔人間だが、視聴者は今まで特撮怪獣のような理性のない降魔しか見ていないわけで、そんなモンスターとわかり合えると言われてもピンとこない。白秋の孤児院には人間に近い降魔もいるようだが、そもそも降魔勢力の内情がさっぱり説明されないため、そんな説明不足の存在との相互理解をキーポイントにされても視聴者としては困るばかりだ。
また、降魔人間が偶然で生まれた存在ならまだしも、降魔人間は人間側が人体実験をして作り出した人間寄りの存在であり、それが2つの勢力の垣根を壊すと言われても説得力がない。
カミンスキーがツングースカで手に入れた力も全く説明がなく、加えて登場人物の誰もがカミンスキーの力のことを知ろうとしないため、スッキリとしない。最終回の描写を見るに次回作の伏線なのかもしれないが、それにしたって扱いが雑すぎる。

個人的には、ちょっと見るのを後悔したレベルのクオリティ。
原作ファンならもっと楽しめたのだろうか?



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